記主念仏
提供: 新纂浄土宗大辞典
きしゅねんぶつ/記主念仏
三重県四日市市六呂見の浄土宗観音寺に伝わる新亡供養の念仏。観音寺は、宝治二年(一二四八)、良忠が関東に向かっている途次に開いたと伝えられ、この念仏も良忠によって始められたとされる。毎年八月一三日から一五日までの夜間に行われる。参加者は、僧侶のほか、新盆精霊を出した家の遺族のうち男性一名が参加する。全員裃を着し、錫杖と呼ばれる竹製の杖と小さい鉦鼓をもつ。一三日の夕方六時半ごろ記主禅師像を本堂の本尊阿弥陀如来像前に安置し、本堂向拝の前で念仏を称える。次に本堂前の左右にある石塔(村人はヒノマルさんと称している)の前、本堂裏の火葬場(無縁墓)の前、そして新盆各家の墓前で念仏を称える。
【参考】佛教大学民間念仏研究会編『民間念仏信仰の研究 資料編』(隆文館、一九六六)
【参照項目】➡観音寺一
【執筆者:齋藤知明】