精霊
提供: 新纂浄土宗大辞典
しょうれい/精霊
万物の根源を表す精気をいう。漢音では「せいれい」。精霊の存在に対する信仰をアニミズムという。仏教では「しょうれい」「しょうりょう」と読み、衆生の魂や死霊をいう。とくに盆行事に祀られる先祖の霊をいい、オショウロサン、オショウライサンなど地方によって呼称を異にする。盂蘭盆を精霊会・精霊祭といい、祭壇を精霊棚と呼称する。また、ナスやキュウリなどで他界からの精霊の迎え・送りの乗り物を作り、精霊迎え、精霊送りを行う。地方によっては、精霊流しといって精霊船を流して送ることもある。トンボ・セミ・カマキリに乗って精霊が訪れるとする地方もあるが、それは盂蘭盆のころに出現するからであろうといわれている。同様にミソハギは、盂蘭盆のころ群生するので供物として供えられ精霊花ともいわれる。盂蘭盆に訪れるのは先祖霊・精霊・無縁仏の三種の霊で、無縁仏は供養するもののいない外精霊といい、新亡の精霊は新仏とか新精霊といわれ、死後一定期間経って問いきりを迎えると浄化されて祖霊になるとする習慣がある。
【参考】柳田国男「先祖の話」(『定本 柳田国男全集』一〇、筑摩書房、一九六二)、鎌田茂雄『中国の仏教儀礼』(大蔵出版、一九八六)、坂本要『地獄の世界』(北辰堂、一九九〇)、高谷重夫『盆行事の民俗学的研究』(岩田書院、一九九五)、藤井正雄『盂蘭盆経』(講談社、二〇〇二)
【参照項目】➡精霊流し、アニミズム、精霊棚、盆行事、新仏、新盆
【執筆者:藤井正雄】