助念方法
提供: 新纂浄土宗大辞典
じょねんほうほう/助念方法
念仏を修するうえで、その手助けとなる方法のこと。源信が『往生要集』中の大文第五に助念方法として①方処供具②修行相貌③対治懈怠④止悪修善⑤懺悔衆罪⑥対治魔事⑦惣結要行の七つをあげている。①方処供具では、念仏を行う場所・供物・道具について説く。②修行相貌では、念仏者の姿・心構えをいい、四修(長時修・慇重修・無間修・無余修)と三心(至誠心・深心・回向発願心)を挙げている。③対治懈怠では、怠惰な心を抑える方法として、修行中に怠け心が起こったならば三途の苦しみと浄土の快楽とを比較して、その心を励ますことを説く。④止悪修善では、戒を持って悪を止め、善を修すことを説く。⑤懺悔衆罪では、多くの犯した罪を懺悔することを説く。⑥対治魔事では、修行を防げる悪魔の仕業を退治することを説く。⑦惣結要行では、大菩提心・護三業・深心・至誠・常念の浄業をあげ、「往生の業には、念仏を本となす」(浄全一五・一〇八上/正蔵八四・六七上)としている。源信は『往生要集』で世親の五念門を採用し、往生の正行を念仏(正修念仏)としているが、往生の大事を成就するためには、様々な行によってそれを補助しなければならないとの見地から、この助念方法を立て、正修念仏と助念方法との正助合行を実践体系としている。法然は『選択集』四において、念仏を助成するための一切の行為を異類の助業としているが、これらは『往生要集』の助念方法に依ったものであるとしている。
【参照項目】➡同類の助業・異類の助業
【執筆者:和田典善】