別所求別去行
提供: 新纂浄土宗大辞典
べっしょぐべつこぎょう/別所求別去行
特別に求める浄土とその浄土へ至るべき行のこと。『観経』に説く韋提希が求めた浄土とその浄土へ生じるための行を指す。通所求通去行の対。善導が『観経疏』において、『観経』に説かれる「我れ今極楽世界の阿弥陀仏の所に生ぜんことを楽う。ただ願わくは世尊、我れに思惟を教えたまえ、我れに正受を教えたまえ」(聖典一・二九〇~一/浄全一・三九)の文を、韋提希が釈尊に対して、自らのために極楽浄土を特別に求め(別所求)、その極楽浄土へ至るべき行を特別に求めた(別去行)と理解したことに拠る。表現としては『伝通記』に「韋提前請等とは、欣浄縁の終りに別所求別去行を請するを指す」(浄全二・二九七上~下)とあるのに拠る。また聖聡『当麻曼陀羅疏』では、善導『観経疏』の欣浄縁を、通所求・通去行・如来通答・別所求・別去行の五つに分けて解釈している(浄全一三・五〇四下)。
【執筆者:大屋正順】