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龕の小幡

提供: 新纂浄土宗大辞典

がんのこばた/龕の小幡

葬具の一つ。龕の四方に垂らす白い幡。龕は葬送するときに棺をのせて運ぶ輿形のもの。この龕に小さい幡を垂らして飾りとしているので、龕の小幡という。龕幡、龕四流幡ともいう。大幡は「諸行無常」などと記した大型の紙幡(大幡四流)を笹竹に吊るしたもので、これを持って葬列する。また「南無阿弥陀仏」と記した名号幡を大幡と呼ぶ場合もある。小幡はこの大幡四本幡しほんばた)に対する称である。『法要集』の葬具書式には、「摂益文」の文を記すとある。幡は六手四足の形に作り、上部に紙縒こよりをつけて、龕の軒のところに一流ずつ結びつける。その幡には「摂益文」の四句を一句ずつ記入する。『浄土苾蒭びっしゅ宝庫』下・一〇の「龕の四方に掛ける幡の文の事」には、「聞名得益偈」などを挙げている。


【参考】五来重『葬と供養』(東方出版、一九九二)、『浄土宗 書式文例集』(浄土宗、二〇一四)


【参照項目】➡葬具書式大幡


【執筆者:西城宗隆】