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黒谷流

提供: 新纂浄土宗大辞典

くろだにりゅう/黒谷流

円頓戒の戒系の一つ。比叡山黒谷および白河新黒谷を拠点としたのでこの称がある。法然信空湛空を経て、求道房恵尋・素月房恵顗えぎ・尭光房興円(伝信和尚)・恵鎮房円観次第した後、道崇(光宗)・豊信(慧澄)の元応寺流、慈眼(惟賢)・伝灯(慈顗)と続く法勝寺流に分かれた。後者からは天台真盛宗の祖・真盛が出ている。円・密・戒・浄の四宗兼学を主張し、とくに恵顗以降は「戒灌頂」という独自の授戒作法を宣揚した点に最大の特色がある。中世比叡山における円頓戒復興の本流とされており、それが法然の戒系から出たことから専修念仏の興隆との関係が議論されたが、あくまでも天台宗侶としての円戒復興であり、専修念仏とは切り離して捉えるべきであるとの見方もある。


【参考】恵谷隆戒『改訂円頓戒概論』(大東出版社、一九七八)、石田瑞麿「円戒の復興と戒灌頂」(同『日本仏教思想研究』二、法蔵館、一九八六)


【執筆者:吉田淳雄】