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雪洞

提供: 新纂浄土宗大辞典

ぼんぼり/雪洞

堂内で用いる照明具。雪洞灯台ともいう。日常の灯火具が仏前供養具となった。燭台や灯明台に、紙や薄布を内側から貼りつけた塗のかまちの覆いをつけたもの。覆いの火袋は、上部が広がったもの、底辺が六角形、円筒形をしたものなどがある。仏前のみならず、高座説法の座に置く場合もある。


【参考】内阪素夫『日本灯火史』(つかさ書店、一九七四)、『嬉遊笑覧(四)』(岩波文庫、二〇〇五)


【執筆者:八橋秀法】



扇の一つ。現在浄土宗で用いている扇は、中啓ちゅうけい広骨ひろぼね扇(朱扇白扇)の二種類であるが、中啓に比べ雪洞は末広のそりの幅が半分ほど短い。扇は日本で考案された持ち物で、涼を取るために檜扇ひおうぎに準じた五本骨、片面張りの扇が考え出され、「アオグ」の語から「オウギ」と呼ばれた。これが中国で改良され、再び日本に逆輸入されてきた。扇は「儀容を整えるため」の笏から代わって儀式の持ち物となり、法要などの執持物となった。『法式教案』には直綴じきとつまたは略衣の場合に多く用いるとある。なお『法要集』では檜扇雪洞・末広などを用いていない。


【参照項目】➡中啓


【執筆者:水野正雄】