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袋中上人伝

提供: 新纂浄土宗大辞典

たいちゅうしょうにんでん/袋中上人伝

一巻。在俗の門弟山田なにがしの作。近世初期の名越派の学僧良定袋中の伝記。三四段の詞書と三二段の画図が交互に組み入れられている。内容は、生誕・出家修学・琉球での生活・帰朝後の活躍・示寂・著作の紹介となる。寛延二年(一七四九)の泰雄の識語によると、山田某は多年に亘って袋中の行状を見聞し書き留めておいた。それを袋中の死後、是順のもとへ持参し、是順がすぐに義山に見せたところ、義山は喜び、湛慧に繕写させ、近江国の絵師高田敬輔けいほに画図を入れさせて完成させた。なお、本書には鶯瀧寺本(旧瓶原みかのはら心光庵本)・史料編纂所本・浄全本・本覚寺本・袋中庵本・如来寺本の六種の異本がある。内容的には大同小異であり、原本となったものは鶯瀧寺本である。また、如来寺本だけが画図を欠いている。


【所収】浄全一七、『国文東方仏教叢書』一、『琉球神道記』


【参考】横山重『琉球神道記 弁蓮社袋中集』(角川書店、一九七〇)


【参照項目】➡袋中


【執筆者:𠮷水成正】