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虚無之身無極之体

提供: 新纂浄土宗大辞典

こむのしんむごくのたい/虚無之身無極之体

極楽浄土往生した者が得る、さとりにかなった身体のこと。『無量寿経』には「ただ余方よほう因順いんじゅんするが故に、天・人の名あり。顔貌端正げんみょうたんじょうにして、世に超えて希有なり。容色微妙ようしきみみょうにして、天にあらず人にあらず、皆自然虚無の身、無極の体を受く」(聖典一・二四四/浄全一・一七)とある。浄土に生じた者は、涅槃・無上菩提を証得した身体を受ける。その寿命は、生・老・病・死を離れて極まりなく、その容姿の立派で妙なることは、天上界とも人間界とも比較にならないほど勝れている。「虚無」や「無極」という表現は、『老子』や『荘子』等にみられる中国思想に基づく語。これについて聖冏は、儒教道教の語に似ているが、仏教中の深義・出世の法とはその意味において遥かに異なるものであると、詳細な説明を加えている。


【資料】『無量寿経随聞講録』上四(浄全一四)、『釈浄土二蔵義』三〇(浄全一二)


【参考】藤田宏達『大無量寿経講究』(東本願寺出版部、一九九〇)


【執筆者:吉水岳彦】