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色 (いろ)

提供: 新纂浄土宗大辞典

いろ/色

色の識別、人間に与える心理的効果・影響およびその象徴は文化・社会によって異なる。一般に、赤は情熱、緑は成長、白は純潔、黒は悪の象徴とされるが、日本では喪の色は黒、花嫁衣装は白、成人式・還暦の祝いには赤が用いられる。赤には魔よけの意味がある。だが、中国では喪の色は白であり、日本で葬式のかぶりものが「イロ」と呼ばれる白であったりするように、色のもつ象徴的意味が人間に与える心理的な影響は一様ではなく、一つの色が他の色との対置のなかで意味合いを変化させることがある。聖徳太子の制定したと伝えられる冠位十二階は地位の上下関係に色分けが用いられ、仏教では修法ごとの護摩壇の色、キリスト教ではミサごとの司祭の祭服の違いに現れている。中国の四神しじんは東=青竜=青、西=白虎=白、南=朱雀=朱、北=玄武=黒のように方位の象徴的な表現である。ターナーはアフリカのンデンブ族の調査から赤・白・黒の三種の色を基本的な色彩とし、世界的な比較を試みている。


【参考】柳田国男『葬送習俗語彙』(民間伝承の会、一九三七)、E・デュルケム、M・モース共著/山内貴美夫訳『人類と論理—分類の原初的諸形態』(せりか書房、一九六九)、V・ターナー著/富倉光雄訳『儀礼の過程』(思索社、一九七六)


【執筆者:藤井正雄】