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管長

提供: 新纂浄土宗大辞典

かんちょう/管長

一宗一派を管轄統理する長。明治五年(一八七二)、教部省より各宗に教導職管長一名を設置する旨の通達が出された。これに基づき、浄土宗では伝通院養鸕うがい徹定が初代管長となった。同一一年、一宗を東西両部に分けてそれぞれに管長を設けることになった。同一八年には五箇本山一年交替の交番管長制としたが紛議をかもし、同二〇年より知恩院住職管長の任に当たることになった。以後旧宗制では四箇本山法主中より一宗公選によって管長を選定し、主務大臣の認可を得て上任するものとされ、「列祖ノ洪範ヲ継承シテ教化ヲ純正ニシ、宗制ノ条規ニ依テ一宗ヲ統理ス」と規定された。戦後、特に合併前の「浄土宗宗制」では「管長は列祖の洪範を承継する本宗最高の栄位であって、道俗帰依の中心である」(第一〇条)と定められ、その職務権限は、宗務総長の助言により教諭・訓示の発令、宗務総長・部長の認証、宗侶檀信徒の褒賞、住職・主管者の認証書への奥書僧階教階学階の叙任辞令への奥書などを行うことであった(第一二条)。昭和三七年(一九六二)四月「浄土宗宗綱」および「宗教法人浄土宗規則」が制定され、これによって管長の名称が廃止され、かわって門主もんす制がとられることになった。なお「浄土宗宗綱」では総本山知恩院法灯を伝承するものを浄土門主とし、門主浄土宗教学の師表として、儀式を主宰し、祖廟に奉仕し、宗議を裁定すると規定される。


【参考】『浄土宗制規類聚』、「浄土宗宗綱」


【参照項目】➡門主


【執筆者:宇高良哲】