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神棚

提供: 新纂浄土宗大辞典

かみだな/神棚

家庭の屋内に棚を吊り、神の分霊や神札を祀り、家庭内の神道祭祀を営む施設。祀る場所は、常設のものは奥座敷や出居でいなど非日常的な空間に設けられる形と、居間や台所など家人が相互に起居し、団欒する日常的な空間に設けられる場合とがある。前者は神札の奉安所としての性格が強く、信仰生活の象徴としてないし遥拝所として意識されているのに対し、後者は家族のための安全・平和を守護する神の奉斎場所としての性格をもっている。臨時のものとしては、正月の恵方棚や盆の精霊棚などがある。しつらえは部屋の高い場所か、鴨居に棚を吊って白木の小さな祠殿を奉安するのが一般的であるが、宮殿型のほこらを備えた神棚の出現は後世になってからである。それまで神道では、神を迎え、送るのは、臨時の祭壇を設けるのが一般的であったからである。常設の神棚の成立は中世以前に溯ることはなく、常設の仏壇の影響や伊勢の御師おしが各地を回って神宮の大麻を配札する活動にともない御札の保管場所として工夫されたものとみられている。また、恵比須棚・年神棚・荒神棚などのような庶民の生活に密着した神々を祀る神棚などを設ける家もある。


【参考】大河直躬『住まいの人類学—日本庶民住居再考—』(平凡社、一九八六)、平山敏治郎「神棚と仏壇」(『史林』三二—二、一九四九)


【参照項目】➡仏壇


【執筆者:藤井正雄】