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知恩院の七不思議

提供: 新纂浄土宗大辞典

ちおんいんのななふしぎ/知恩院の七不思議

総本山知恩院に伝わる七つの不思議な事柄。もともとが口承であったため正確な成立時を特定することはできないが、他寺院等の七不思議同様に江戸期に起こったようである。またその内容にも変遷が見られ、数も必ずしも七とは限らない。現在知恩院が公表しているのは「鶯張りの廊下」「白木の棺」「忘れ傘」「抜け雀」「三方正面真向の猫」「大杓子おおしゃくし」「瓜生石うりゅうせき」の七つであるが、過去には次のものも七不思議として数えられていた。「本堂の棟の大瓦」、阿弥陀堂北側の「無銘塔」、山門東の「五本松」、勢至堂東の「加茂明神影向石ようごうせき」、御影堂厨子しょうの音のするお扉」「見え隠れの経蔵」「寺務所の神棚」、御影堂阿弥陀堂の間にあったという「一葉の松」、崇泰院にあった「親鸞逆さ杉」「鉄盤石」「不断桜」。これらの七不思議は、単に参詣者の興味を引くというだけではなく、そこから知恩院浄土宗の教えへの縁を深める機縁として語り継がれている。


【参考】竹村俊則「知恩院の七不思議」(『季刊誌 古都』一四、一九七四)、田中緑紅『知恩院物語』下(京を語る会、一九五八)


【参照項目】➡知恩院


【執筆者:市川定敬】