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無常堂

提供: 新纂浄土宗大辞典

むじょうどう/無常堂

無常院、涅槃堂などともいう。病人など死期の迫った者を収容する施設で、収容された者はここで看病を受けつつ臨終を迎えた。古くはインドの祇園精舎北西の一角に設けられていたという。中国唐代の律僧である道宣は、インド由来の伝承に基づいて『四分律行事鈔』に看病と葬送を論じた。また源信は『往生要集』で、特別の時に行う「別時念仏」の第二として「臨終の行儀」を説いている。源信はここで臨終行儀を行事と観念に分けて説明しており、無常堂無常院)については行事のこととして『四分律行事鈔』を引き、臨終者と仏像の向きや配置についての説を注している。日本では、平安末から鎌倉時代にかけて多くの寺院で設けられたことが、往生伝などから知ることができる。阿弥陀仏来迎を得て往生するための臨終行儀が行われる施設であり、当時の往生思想や念仏の在り方などが、実際的に具現される場であったといえよう。


【参照項目】➡臨終行儀


【執筆者:池見澄隆】