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祇園精舎

提供: 新纂浄土宗大辞典

ぎおんしょうじゃ/祇園精舎

インド、ウッタルプラデーシュ州シュラーヴァスティ県にあった仏教僧院。ⓈJetavana AnāthapiṇḍadasyārāmaⓅJetavana Anāthapiṇḍikārāma。ラプティー(Raptī)河の南岸に位置するサーヴァッティー(舎衛城)の旧跡マヘート(Maheth)の南西八〇〇メートルにあるサヘート(Saheth)に比定され、東西五〇〇メートル、南北二〇〇メートルの楕円形に広がる遺跡の中に、僧院跡、ストゥーパが散在する。コーサラ国パセーナディ(Pasenadi)王の太子ジェータ(Jeta)の所有する園林にスダッタ(Sudatta)長者が、黄金を敷きつめてその地を買いとり、釈尊に寄進したことから、「ジェータの園林で、孤独な人々に食事を与える者の園(祇樹給孤独園ぎじゅきっこどくおん)」の名がある。仏伝にちなむ数々の故事の舞台として知られ、その建立はバールフトの浮き彫りなど、多くの美術作品の題材となっている。「平家物語」の冒頭「祇園精舎の鐘の声」の祇園はここをいう。なお江戸時代にはカンボジアのアンコールワットが祇園精舎だと信じられていて、日本から参詣した事例がある。


【参考】M. Venkataramayya Śrāvasti.(インド考古局、一九五六)


【参照項目】➡給孤独


【執筆者:佐藤良純】