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涅槃像

提供: 新纂浄土宗大辞典

ねはんぞう/涅槃像

クシナガラのサーラ林で北を枕に寂滅する釈尊を表す図像。ガンダーラで仏伝の一場面として外来図像を範に作られるようになった。六世紀に仏伝から独立し、像は巨大化し、中央アジアから中国へ伝わった。弥勒菩薩像と対になり、正法を未来に付属する思潮が中央アジアでおこった。涅槃図像構成は、ガンダーラでは悲嘆する人天弟子スバドラやマハーカーシャッパが現れるにすぎないが、六世紀中央アジアでは土着習俗が加味され、マーヤー夫人や自傷して悲嘆する人物が追加され、さらに八世紀の中国では菩薩群像も描かれ、明代に現今の図像形式が完成した。インドではグプタからパーラ時代に、釈迦四相図や八相図において涅槃は理想の姿として信仰を集めた。一方、巨仏化した涅槃像は、東南アジア、スリランカに及んだ。日本の例では、古くは法隆寺五重塔初層に塑像例(国宝)がある。八世紀末に涅槃会が始まると涅槃図制作が盛んになり、涅槃像例は極めて多い。


【執筆者:桑山正進】