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浄土宗全書

提供: 新纂浄土宗大辞典

じょうどしゅうぜんしょ/浄土宗全書

初版は浄土宗宗典刊行会編、再版は浄土宗典刊行会編。二三巻。通称は『浄全』。明治三九年(一九〇六)法然七〇〇年遠忌記念として浄土宗宗典出版の議が提唱され、同年四月の教学院会議において協議、刊行が七〇〇年遠忌記念事業に位置付けられた。同年八月には宗典刊行会の設立準備として、宗典刊行会規定が制定され、会長に秋浦定玄、名誉顧問に堀尾貫務北条弁旭山田弁承が就任、編集顧問に勤息義城黒田真洞大鹿愍成、庶務に野上運外、編修員に松井達音、伊藤祐晃がそれぞれ任命された。同年一〇月に「浄土宗典刊行会設立趣意書」が発表され、同月に秋浦会長によって評議員が嘱託された。刊行会の本部ははじめ金戒光明寺に設けられ、東京支部は同四〇年六月に浅草吉野町の東光社に置かれたが、同四一年一月に本部を京都より伝通院に移し、京都支部を上善寺に置いた。編纂所は浅草九品寺内に置かれた後、同四一年六月に浄土宗宗務所、四二年に光雲寺と移転した。明治四〇年(一九〇七)一二月に『選択集』を収録する第七巻をもって刊行を開始し、大正三年(一九一四)一月までに全二〇巻の刊行を完了。標題および背文字は深川本誓寺福田循誘が揮毫し、装丁は平子鐸嶺と結城素明が担当。初版『浄全』の付録「附言」には底本の種類と所蔵者、凡例や編集後記が掲載された。初版刊行完結後、既刊『浄全』の校訂と再版の議がおこり、昭和三年(一九二八)伝通院野沢俊冏を刊行会の会長とし、編集事務は原田霊道、刊行事務には岩野真雄が当たり、大東出版社より刊行。校訂は三長覚静岸信宏阿川貫達原田霊道、高田隆先、高野海音、奥平法海、石橋誡道が担当。さらに梵蔵和英合璧浄土三部経(別巻)、解題(第二一巻)、索引(第二二巻)を追加し、同一一年四月に二版刊行が完結した。また浄土宗開宗八〇〇年記念として浄土宗開宗八百年記念慶讃準備局より、同四五年四月から同四七年七月にかけて二三巻が覆刻され、巻末に解題と浄全月報を付して山喜房仏書林より刊行された。なお、宗祖法然上人八〇〇年大遠忌記念事業として浄土宗教学院により一巻から二〇巻までが浄土宗全書検索システムとして平成二三年(二〇一一)、インターネット上に公開された。


【資料】「附言」(初版浄全付録)、『浄土教報』


【参考】高野海音「浄土宗全書の出版経過概要」(浄全二一)、「浄全月報」


【執筆者:石川達也】