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法然と親鸞の信仰

提供: 新纂浄土宗大辞典

ほうねんとしんらんのしんこう/法然と親鸞の信仰

倉田百三ひゃくぞう(一八九一—一九四三)の評論。原著は『仏教聖典を語る叢書』一三として、大東出版社から昭和九年(一九三四)に刊行。のち、『倉田百三選集』七(大東出版社、一九四八)、講談社学術文庫(一九七七)上下二冊などに収録。倉田百三には親鸞と息子の善鸞との軋轢を軸に描いた戯曲『出家とその弟子』(一九一七刊)がある。本書は、法然と親鸞の人物像および教えを、著者の信仰心に裏打ちされた熱意あふれた筆致で記した入門書的著作であり、法然と親鸞教義を平易に説いている。構成は、「序」「はしがき」「上篇 一枚起請文」(第一章「内容一般」、第二章「法然の生涯〔その時代的背景〕」、第三章「一枚起請文講評」)「下篇 歎異鈔」(第一章「内容一般」、第二章「親鸞聖人の生涯」、第三章「歎異鈔講評」)「後書」となっている。作中の「法然の生涯(その時代的背景)」「親鸞聖人の生涯」は、両者の信仰のあり方を小説風に描いている。


【参考】『倉田百三選集』七(大東出版社、一九四八)、同書復刻版(日本図書センター、一九九四)、稲垣友美「解説」(『法然と親鸞の信仰』上・下、講談社、一九七七)、鈴木範久「倉田百三」(『日本近代文学大事典 机上版』講談社、一九八四)


【執筆者:小嶋知善】