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法楽踊り

提供: 新纂浄土宗大辞典

ほうらくおどり/法楽踊り

広島県尾道市因島いんのしま地蔵院うしとら神社で行われている念仏踊り。起源は、村上水軍が出陣の際に行っていた法楽能で、村々で戦勝を祈願し士気を鼓舞するために行われたと言われている。江戸時代に入ると五穀豊穣や無病息災などを祈願する行事に変化し、現在にまで伝わっている。因島の椋浦(毎年八月一五日に開催)と外浦(西暦偶数年の八月一五日に開催)とで行われ、主体は青年十数人である。中央に小太鼓、鉦、太鼓が一列に並び、外の輪のものが浴衣、はかま、たすき、はちまきなどの衣装に剣、扇子を持って鉦と太鼓にあわせて右に回る。中の輪のものが「南無阿弥陀仏」と書かれた五色の幡を持ち左回りし、中央の道具方が「ナムアミ」と言うと、外の輪のものが「デーボ」と言いながら扇を上にかざして振る。何回か繰り返して「とんだ、とんだ」と言った後に、今度は剣を振りかぶって跳びながら回る。昭和五六年(一九八一)に県の無形民俗文化財に指定された。


【参考】佛教大学民間念仏研究会編『民間念仏信仰の研究 資料編』(隆文館、一九六六)


【執筆者:齋藤知明】