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施化利生門・発迹入源門

提供: 新纂浄土宗大辞典

せけりしょうもん・ほっしゃくにゅうげんもん/施化利生門・発迹入源門

施化利生門とは、仏が衆生機根に応じて説いた、それぞれの衆生を救いとる法門のこと。それに対し発迹入源門とは、凡夫には理解できない仏の深妙な教えを、理解することにこだわらず、仏智を仰ぎ信ずる法門のこと。良忠善導の説を解釈したもの。良忠は『伝通記』において、善導の『観経疏』玄義分に説かれる説を受け「仏密意乃至)常楽とは、上来は総じて浄土の施化利生の相を明かす。是れ解義分なり。即ち地論の因分可説に当たる。自下は果位難思の発迹入源を明かす。是れ仰信分なり。即ち地論の果分不可説に当たる」(浄全二・一三三上正蔵五七・五二五上~下)と述べ、以下施化利生門(解信分)と発迹入源門仰信分)とを詳しく説明している。聖冏はこれを受け、『糅鈔にゅうしょう』一三に「上来総明等とは結前生後するに、施化利生門の因分可説と発迹入源門果分不可説とに分在せり。中において浄土施化利生の言に記主の深意あり」(浄全三・三〇九上)として二門について解釈している。また『一枚起請之註』において、『一枚起請文』の本文を独自の解釈によって、施化利生門・発迹入源門の二門にあてはめて解釈している(浄全九・四上~五上)。


【資料】聖冏『釈浄土二蔵義』二九、『教相十八通』上


【執筆者:長尾隆寛】