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影略互顕

提供: 新纂浄土宗大辞典

ようりゃくごけん/影略互顕

関係する事項を説明する場合、一方で略した語を他方で述べ、他方で略した語を一方で述べて、各事項が相互に説明を補完していることをいう。註釈書において、経文などを解釈する際によく用いられる。例えば、普光『俱舎論記』一には「空界は明闇を以て体と為す。…光と明とは一対を為す。明は軽、光は重なり。偏に〈明〉と言うは、軽を挙げて以て重を顕す。影と闇とは一対を為す。影は軽、闇は重なり。偏に〈闇〉と言うは、重を挙げて以て軽を顕す。此れ即ち影略互顕なり」(正蔵四一・三二下~三上)とある。つまり、明・闇は、軽重関係にある光明・影闇の一方を挙げて一方をもあらわしているので影略互顕であると解釈している。


【参考】岩永正晴「『正法眼蔵聞解』における〈影略互顕〉について」(『駒沢大学仏教学部論集』四〇、二〇〇九)


【執筆者:三宅徹誠】