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大乗戒壇

提供: 新纂浄土宗大辞典

だいじょうかいだん/大乗戒壇

大乗戒を授受するための壇場で、方等戒壇ともいう。日本では最澄比叡山に設けたのに始まる。それまで授戒は奈良の東大寺、下野の薬師寺、筑紫の観世音寺で行われていたが、これらは小乗色の濃いものであった。最澄東大寺受戒したが、その後入唐して天台宗七祖であった道邃どうすいより円教菩薩戒である円頓戒を受けた。晩年、一乗には一乗の戒が必要として、東大寺などで行われている授戒を小乗のものと断じ、自らその棄捨を宣言。一乗戒壇設立の許可を朝廷に請うも、南都の僧綱の強い反発にあい、その設立を見ずしてこの世を去った。その後、弟子やゆかりの貴族の尽力で、没後七日目にあたる弘仁一三年(八二二)六月一一日、大乗戒壇設立の勅許が下された。翌年四月には、最澄と共に道邃より円頓戒を受けた義真が伝戒師に、また円仁教授師となり、日本で初めて大乗戒による授戒が行われ、天長四年(八二七)には大乗戒壇延暦寺に創建された。


【資料】『叡山大師伝』、『類聚三代格』三、『天台座主記』


【執筆者:横田善教】