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地蔵盆

提供: 新纂浄土宗大辞典

じぞうぼん/地蔵盆

地蔵菩薩を祭祀対象とし八月二四日を中心として行われる行事。近畿地方を中心として行われている。ちょう単位で行われることが多く、その内容は地域により様々であるが、地蔵を飾りつけ供え物をし、子どもたちが集まって遊ぶことが中心であり、子どもの祭りという性格が強い。また、僧侶による読経、ご詠歌詠唱数珠繰り、子どもたちへの供え物の分配、共同飲食などが行われる地域もある。京都市内や滋賀県草津市などでは地蔵に化粧を施す習俗が見られる。地蔵盆の成立や展開には諸説あるが、地蔵の縁日である二四日に行われた地蔵講をもとに、地蔵自身に後世付与された性格—子どもの守護者、さいの神との習合—が付け加わり、盆行事や愛宕信仰などの影響をうけ成立したと考えられている。


【参考】林英一『地蔵盆—受容と展開の様式—』(初芝文庫、一九九七)、五来重『宗教歳時記』(角川選書、一九八七)、奥野義雄「地蔵盆と念仏講—地蔵盆にみる念仏講の諸相と地蔵盆の源初形態を中心に—」(『仏教民俗学大系六 仏教年中行事』名著出版、一九八六)、安達俊英「地蔵盆」(中村元編著『仏教行事散策』東書選書、一九八九)


【参照項目】➡盆行事


【執筆者:名和清隆】