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不惜身命

提供: 新纂浄土宗大辞典

ふしゃくしんみょう/不惜身命

仏法を受持するために身命を惜しまないこと。「ふじゃくしんみょう」とも読み、『法華経寿量品では「不自惜身命」(正蔵九・四三中)ともいう。一般には『法華経』受持に対して用いる場合が有名。浄土宗義においては、善導深心釈に「一心にただ仏語を信じて身命を顧みず、決定して依行せよ」(『観経疏散善義、聖典二・二八九/浄全二・五六下)というところの、「不顧身命」も同義と理解されている。また法然は「『仏法に逢いて身命を捨つる』といえる事を」(聖典六・四八二/昭法全八八〇)と歌に詠んでいる。良忠不惜身命の位に二種あり、平生から身命を惜しまないことは難しく上機に限られると説き、下機の者は臨終のときにその心を発すようにと勧めている(『疑問抄』聖典五・三六六/浄全一〇・五七上)。不惜身命の逆に、仏法を体得して、むしろ身命を大切にして、ながく人々のために法を説き広めることを「但惜たんじゃく身命」ともいう。


【執筆者:齋藤蒙光】