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下钁

提供: 新纂浄土宗大辞典

あかく/下钁

土葬の際に行う作法。鍬の形の物を一握用い、作法も眼下、足もと前方に一円相を描き、引導の文を述べた後、元の位置に戻す。埋葬する土地が欠けることのない仏国土であるようにと念ずる意、などの説がある。火葬における下炬あこに対し、土葬において下炬にかわって用いる場合がある。『浄土無縁引導集』の「土葬法式」の項には「知識の引導する時は木にてすきを作りて、是にて拈起ねんきする也。鍬柄は一尺八寸也。表示十八界を表す。云々」(正徳三年〔一七一三〕三・一七オ)とあり、土葬引導に用いた。『啓蒙随録』初篇にも「西京地方にて。土葬には炬を止めて。木の钁鍬きゃくしゅうを用いるもあり」(一四オ)とあり、関西の風としている。曹洞宗でも炬火たいまつの代用として「钁子くわ」を記載しているが(『昭和改訂曹洞宗行持規範』、一九五〇)、浄土宗とは若干作法が異なる。土葬くわや鍬を用いる習俗は各地に残っており、民俗学の一説では日本伝統の鎮魂の呪術と呪物の葬具としての鍬などが仏教化して継承されたものとも説明されている(五来重『葬と供養』三三三、東方出版、一九九二)。


【資料】『浄土苾蒭びっしゅ宝庫』下・一三左


【参照項目】➡下炬土葬葬儀式


【執筆者:大澤亮我】