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一遍上人絵詞伝

提供: 新纂浄土宗大辞典

いっぺんしょうにんえしでん/一遍上人絵詞伝

一〇巻。『一遍上人縁起絵』『遊行上人縁起絵』『遊行縁起』とも呼ばれる。宗俊(生没年不明)編。元本は嘉元元年(一三〇三)—徳治二年(一三〇七)間の成立。前半の四巻は時宗宗祖一遍伝、後半六巻は遊行二祖他阿真教の伝記。内容は、一遍伝では遺恨を持つ親族によって襲われる場面からはじまり、熊野での成道じょうどう、日本全国への遊行賦算ふさん(お札くばり)、踊り念仏、最後に兵庫の観音堂での臨終をむかえるまでを描く。続いて二祖真教伝では、一遍の臨終の後、真教が遊行を継承し、特に北陸・中部・関東地方を遊行して教団の基礎を固め、相模国当麻たいま無量光寺(神奈川県相模原市)で、歳末別時念仏を修するまでを描いている。現在、模本は明治四四年(一九一一)に焼失した清浄光寺しょうじょうこうじ本、長野県金台寺こんだいじ本(国重要文化財)、神戸真光寺本(国重要文化財)など二〇本ほどが知られるが、絵の違いなどから三系統に分類できる。


【所収】『定本時宗宗典』下(時宗宗務所、一九七九)、『遊行上人縁起絵』(『日本絵巻物全集』二三、角川書店、一九七九)


【資料】『一遍上人絵詞伝直談鈔』


【参照項目】➡一遍聖絵


【執筆者:長島尚道】