操作

ミトラ教

提供: 新纂浄土宗大辞典

ミトラきょう/ミトラ教

ミトラ神(ミスラ)を信仰する宗教。ミトラス教ともいう。ミトラ教は古代インド、イランに共通したミトラ神への信仰であったが、ヘレニズムとの交流によって地中海世界に入った後、形を変えて、主としてローマ帝国の統治下で、紀元一世紀から五世紀頃にかけて発展した太陽信仰とされている。元々アーリヤ人の古い神話に見られる光明の神であり、インドの『リグ・ヴェーダ』やイランの『アヴェスター』文献において登場する有力な神であった。インド神話では太陽神群(アーディティア神群)の中の一神であるミトラと起源を同じくする。太陽の神、友愛の神として民間での信仰は盛んである。ミトラを語源とするマイトレーヤ(ⓈMaitreya)は仏教弥勒菩薩であり、「友愛の師」の意味を持ち、慈氏菩薩あるいは慈尊とも漢訳される。浄土教阿弥陀仏は、その威神光明が最尊第一であるとされ、光明無量であるから無量光仏と呼ばれていて、光明の仏であることからミトラ神との関わりも言及されるが、その実体については不明である。


【参照項目】➡弥勒


【執筆者:田中典彦】