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Z1440 即心念仏摘欺説 敬首 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0297A01: 抑も淨土宗の。撥無因果を謗じ玉ふは。天台宗の人
Z14_0297A02: は。皆かやうの心はなしと。云へる由やらん。又天台
Z14_0297A03: の行を。修する人は。か樣の心はあれども。苦しから
Z14_0297A04: ざる由やらん。承り度ことなり。忝も傳敎大師。御本
Z14_0297A05: 願として。人を殺さば。斷頭罪。佛を謗らば。斷頭罪と
Z14_0297A06: 授くる。圓頓戒壇の下に。居しながら。諸の人を殺害
Z14_0297A07: し。多くの佛を燒き失ふ。天台宗の僧は。宗風にて。人
Z14_0297A08: には圓戒を勸むれども。心の底には。戒壇もなし。戒
Z14_0297A09: 體もなしと。撥無したるは。淨土宗の。人を殺さず。佛
Z14_0297A10: を燒かぬ撥無よりは。怖しき。上品纒の。現行ならず
Z14_0297A11: や。然れば。誹謗は詮なし。たゞ各々自宗の行を。大切
Z14_0297A12: にはげみ玉ふが。よき筈なり。
Z14_0297A13: 尤も此事○にてはあるなり。撥無の過は。諸宗同然
Z14_0297A14: と。知られなば。など上に。淨土宗のみを。擧らるゝ
Z14_0297A15: や。大抵。凡夫の習ひ。我慢勝他の敎へは。面白き者な
Z14_0297A16: れば。台家の初學たち。是非をわきまへず。これをも
Z14_0297A17: て。無智の俗衆へ勸めなば。自他悉く。謗法の罪を招
Z14_0297B01: かるべし。益なきことをの玉ふかな。凡そこの談義の
Z14_0297B02: 始終。いかなる宿意にや。獨り淨土宗のみを。相手と
Z14_0297B03: して。諸宗同然の過までを。淨土一宗に。あたへらる。
Z14_0297B04: 大方。生死を離れんと思ふ人の。かくまで怨憎せらる
Z14_0297B05: ゝことも。いと心得がたし。
Z14_0297B06: 然れば事の念佛○云べからず。此は。谷響の邪味あ
Z14_0297B07: り。さて。時機相應とは。前に申す通り。佛敎の如
Z14_0297B08: く。時を知り機を鑑みて。下として上を犯さず。其位
Z14_0297B09: に素して。其外を願はざる。道理より。自他宗の祖師
Z14_0297B10: 達。丸蘭として。時機相應と云ことを。勸め玉ふなり。
Z14_0297B11: 且く遍僧都の。思惟觀念。若得成就。定可往生。但時
Z14_0297B12: 代遙下。根機甚澆。雖行成就尤難。而至彌陀一行。必
Z14_0297B13: 成就と。釋し玉ふが如き。豈に萬世の楷ならずや。
Z14_0297B14: 若しこの理を。知んと思はれば。先づ淨士宗を。ねた
Z14_0297B15: く思はず。天台宗に窟宅なく。愛惡の情をすてゝ。專
Z14_0297B16: ら其心を虛にし。時代を鑑み。根機を量りて。次に正
Z14_0297B17: 像末。敎行證の理りを。考へ合せ。且つ諸師の勸め玉

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