浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0297A01: | 抑も淨土宗の。撥無因果を謗じ玉ふは。天台宗の人 |
Z14_0297A02: | は。皆かやうの心はなしと。云へる由やらん。又天台 |
Z14_0297A03: | の行を。修する人は。か樣の心はあれども。苦しから |
Z14_0297A04: | ざる由やらん。承り度ことなり。忝も傳敎大師。御本 |
Z14_0297A05: | 願として。人を殺さば。斷頭罪。佛を謗らば。斷頭罪と |
Z14_0297A06: | 授くる。圓頓戒壇の下に。居しながら。諸の人を殺害 |
Z14_0297A07: | し。多くの佛を燒き失ふ。天台宗の僧は。宗風にて。人 |
Z14_0297A08: | には圓戒を勸むれども。心の底には。戒壇もなし。戒 |
Z14_0297A09: | 體もなしと。撥無したるは。淨土宗の。人を殺さず。佛 |
Z14_0297A10: | を燒かぬ撥無よりは。怖しき。上品纒の。現行ならず |
Z14_0297A11: | や。然れば。誹謗は詮なし。たゞ各々自宗の行を。大切 |
Z14_0297A12: | にはげみ玉ふが。よき筈なり。 |
Z14_0297A13: | 尤も此事○にてはあるなり。撥無の過は。諸宗同然 |
Z14_0297A14: | と。知られなば。など上に。淨土宗のみを。擧らるゝ |
Z14_0297A15: | や。大抵。凡夫の習ひ。我慢勝他の敎へは。面白き者な |
Z14_0297A16: | れば。台家の初學たち。是非をわきまへず。これをも |
Z14_0297A17: | て。無智の俗衆へ勸めなば。自他悉く。謗法の罪を招 |
Z14_0297B01: | かるべし。益なきことをの玉ふかな。凡そこの談義の |
Z14_0297B02: | 始終。いかなる宿意にや。獨り淨土宗のみを。相手と |
Z14_0297B03: | して。諸宗同然の過までを。淨土一宗に。あたへらる。 |
Z14_0297B04: | 大方。生死を離れんと思ふ人の。かくまで怨憎せらる |
Z14_0297B05: | ゝことも。いと心得がたし。 |
Z14_0297B06: | 然れば事の念佛○云べからず。此は。谷響の邪味あ |
Z14_0297B07: | り。さて。時機相應とは。前に申す通り。佛敎の如 |
Z14_0297B08: | く。時を知り機を鑑みて。下として上を犯さず。其位 |
Z14_0297B09: | に素して。其外を願はざる。道理より。自他宗の祖師 |
Z14_0297B10: | 達。丸蘭として。時機相應と云ことを。勸め玉ふなり。 |
Z14_0297B11: | 且く遍僧都の。思惟觀念。若得二成就一。定可二往生一。但時 |
Z14_0297B12: | 代遙下。根機甚澆。雖レ行成就尤難。而至二彌陀一行一。必 |
Z14_0297B13: | 可二成就一と。釋し玉ふが如き。豈に萬世の楷ならずや。 |
Z14_0297B14: | 若しこの理を。知んと思はれば。先づ淨士宗を。ねた |
Z14_0297B15: | く思はず。天台宗に窟宅なく。愛惡の情をすてゝ。專 |
Z14_0297B16: | ら其心を虛にし。時代を鑑み。根機を量りて。次に正 |
Z14_0297B17: | 像末。敎行證の理りを。考へ合せ。且つ諸師の勸め玉 |