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Z1440 即心念仏摘欺説 敬首 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0240A01:  は。未だ善導の敎を知る。たしかなる善知識に遇
Z14_0240A02:  て。聞かざりつる間だこそ。法華經をも讀みまひら
Z14_0240A03:  せ。眞言をも行ひつれ。今この善導の敎へ給へる。
Z14_0240A04:  往生極樂の理を。聞得つれば。さては此度。生死を
Z14_0240A05:  出る事は。この念佛の一脉に。侍るなりと聞き定め
Z14_0240A06:  て。年來の雜行を。閣くなりとの玉へり。さて其故
Z14_0240A07:  實口傳とて。別に奧ふかきことには非ず。たゞ凡
Z14_0240A08:  夫。稱名の念佛にて直に實報無障礙の。めでたき國
Z14_0240A09:  土に入り。快く上品上生することを習ふなり。これ
Z14_0240A10:  を傳へ習はずして。了簡すれば。とかく自宗の執情
Z14_0240A11:  が。ちらめきて。淨土門の上にも。事理の分別がし
Z14_0240A12:  たくて。理は深く事は淺し。理は上品なり。事は下
Z14_0240A13:  品なり。理は無生なり。事は小乘の見解なりなむ
Z14_0240A14:  ど云。心得損じが。出來る者なり。よく〱傳へ習
Z14_0240A15:  ふべきことなり。東野州の歌に。誰も知る。南無阿
Z14_0240A16:  彌陀佛の。六の字も。傳へてこそは。猶ほ尊ふとけ
Z14_0240A17:  れど。淨土宗の。故實を習ふと云は。か樣の意なり。
Z14_0240B01: 一智者學生達の。理觀を閣て。偏へに稱名の念佛を務
Z14_0240B02:  むるは。げには。生死を厭ふ心の眞しく。邪智なき
Z14_0240B03:  故なるべし。縱ひ智者學生にても。天狗ごゝろのあ
Z14_0240B04:  る人は。口稱の念佛を見ては。あさましゝ。愚夫愚
Z14_0240B05:  婦の。所爲なりと謗り。又にくゝも思ふべきなり。
Z14_0240B06:  聖光上人云。念佛は。云に甲斐なき。愚鈍無智の。尼
Z14_0240B07:  入道の徒者の。さてしも有んづるかとて。せめての
Z14_0240B08:  ことに。佛法に結緣せしめむとて。佗言にすること
Z14_0240B09:  にてこそあれと云は。此れは。善導の學問せざる人
Z14_0240B10:  の難なり。又往生に志し薄き人の。加樣には難ずる
Z14_0240B11:  なりと。云云
Z14_0240B12: 一僧俗どもに。少し利根才覺にて。爽快を悅ぶ者は。
Z14_0240B13:  先づは理持などを好むべし。理持は。理窟つみて。
Z14_0240B14:  面白ければなり。口稱は。愚なるに似て。理窟のつ
Z14_0240B15:  まぬ樣なれば。利根を面とする者などは。好むま
Z14_0240B16:  じ。されども年もより。久しく世故をも經て。心も
Z14_0240B17:  音なしくなりて後に。生死を苦勞にする心の起り

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