ウィンドウを閉じる

Z1430 即心念仏弾妄録細評 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0220A01: じて彼の人は。佛敎の大筋を。曾て知られぬなり。そ
Z14_0220A02: れゆへ。事は事。理は理と。分けて計り。置るゝなり。
Z14_0220A03: 一向に見識は。なき人なり。今家計りに非ず。他宗も
Z14_0220A04: 多く云ことあり。如來の說法は。常に依二諦と云り。
Z14_0220A05: 佛の眞諦を說せ玉ふ處にも。俗諦あり。俗諦を說せ玉
Z14_0220A06: ふ處にも。眞諦あり。彼の人の如き。意を得ぬ人は。眞
Z14_0220A07: 諦は。眞諦。俗諦は俗諦と計り。心得るゆへ。如來の心
Z14_0220A08: を。失ふなり。因て大乘𤣥論には。若有巧方便慧。學
Z14_0220A09: 此二諦。成無所得。無巧方便慧敎。卽成有所得
Z14_0220A10: 云り。彼の人は。他宗の心にも及ばぬ。初心なること
Z14_0220A11: なり。又四依の大士。小乘敎を釋し玉ふに。大乘の意
Z14_0220A12: を以て。斷り玉ふことあり。天台も。小乘の文を引て。
Z14_0220A13: 大乘の義を示し玉ふことあり。此れ等も。彼の人に云
Z14_0220A14: せば。場の違ふたこと。筋の違ふたこと。
Z14_0220A15:   彼の人は。場の違ふたの。筋の違ふたのと云譯
Z14_0220A16:   も。知られぬなり。
Z14_0220A17: と。云るべし。勿體なきことなり。又。圓人受法無
Z14_0220B01: 一レ圓と。他宗も云なり。慈雲の。信此圓談。則事無
Z14_0220B02: 達と。同じ意なり。事は事。理は理と。分けて計り。心
Z14_0220B03: 得るは。文盲なることなり。今の十疑論○明かなる
Z14_0220B04: が如し。此れは。前に荆溪の指南を。引き示すにて。
Z14_0220B05: 知れたることなり。諸法無生の段を 能く合點すれ
Z14_0220B06: ば。始終皆卽心念佛と云に。背かぬことなり。往生
Z14_0220B07: 無生なることを○云かけならずや。 此は。めつたな
Z14_0220B08: ることを云る。此方には。談義本を破さるゝとこそ云
Z14_0220B09: へ。往生無生を破さるゝとは。曾て云ず。何とて加樣
Z14_0220B10: なことを。云るゝや。瞋りより。心が迷亂する故なる
Z14_0220B11: べし。十疑論の事の念佛を。圓入が修すれば。卽ち卽
Z14_0220B12: 心念佛になると云て。彼の論の。諸法無生の疑ひの答
Z14_0220B13: へを。出したり。諸法無生なるは。卽心なるがゆへな
Z14_0220B14: り。往生無生を。破せらるゝとは云ぬなり。
Z14_0220B15: 彈曰。此段とくと辨じたらば○無慚愧の人なり。此
Z14_0220B16: 段また。麤き云分。漫語共なり。淨土指歸の意を。合點
Z14_0220B17: せられず。淨土の敎の意を。曾て合點せられぬなり。

ウィンドウを閉じる