浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0183A01: | 卽心念佛彈妄錄略箴 |
Z14_0183A02: | |
Z14_0183A03: | 老苾芻 光謙 著 |
Z14_0183A04: | 享保十五年庚戌。正月十六日。午の下刻。書林某。卽心 |
Z14_0183A05: | 念佛彈妄錄一本を。持し來れり。相尋ひて。來客多き |
Z14_0183A06: | ゆへ。晝の內は。とくと披見せず。夜に入て。侍人に讀 |
Z14_0183A07: | せて。二十枚聽ぬれば。樣子相知れたり。先年とかは |
Z14_0183A08: | らぬ。不合點にて。此度は。殊の外。瞋らるゝ心顯はれ |
Z14_0183A09: | たり。爲レ人爲レ法の議論なれば。自分の義非ならば。速 |
Z14_0183A10: | やかに改たむべし。他人の義非ならば。委細に辨論す |
Z14_0183A11: | べしと。心得れば。瞋ることは。なき筈のことなり。是 |
Z14_0183A12: | 非ともに。我云分を立んと思へども。立られぬゆへ。 |
Z14_0183A13: | 無理を云。墮負の處は。をしかくし。何とぞ初學。無識 |
Z14_0183A14: | の男女を誑惑して。利名を失なはぬ樣にと。思ふ心あ |
Z14_0183A15: | れば。瞋りが起る筈のことなり。笑止千萬なり。人の |
Z14_0183A16: | 瞋りを益さんと云。此方の心にてはなし。爲レ人爲レ法な |
Z14_0183A17: | れば。老衰甚しく。殊の外難義なれども。不レ得レ已。侍 |
Z14_0183B01: | 人に口授して。十七日未上刻に。書付始めさす。 |
Z14_0183B02: | 去りし秋。談義本の辨僞を著したれば。見人此返答 |
Z14_0183B03: | は。なるまじきこと共なりと。いひあへるに。今歲仲 |
Z14_0183B04: | 春。或問といへる書出たり。此は或人に辨僞を問せ |
Z14_0183B05: | て。幻幻菴主の答へられたるものなり。其答への趣 |
Z14_0183B06: | き。果して正直に返答することはならず。さすが。默 |
Z14_0183B07: | 默然たるも。いと念なく思はるゝか。自ら恥を省み |
Z14_0183B08: | ず。人の笑ひをも避くることなく。忽ち立義を改張 |
Z14_0183B09: | し。妄りに前言を翻轉し。罵辱麤言にて。重重紛らか |
Z14_0183B10: | し。盡くこれ誑他の說なれば。四明尊者。山外の答義 |
Z14_0183B11: | を述て。縱事二改張一。終當レ乖レ理。始末全書二於妄語一。披尋 |
Z14_0183B12: | 備見二於諂心一。毀レ人且容。壞レ法寧忍との玉へるに。恰か |
Z14_0183B13: | も當れり。已に理路窮ると見えて。改張顯然として。 |
Z14_0183B14: | 墮負明白なれば。重て辨ずるには。及ばぬことなれど |
Z14_0183B15: | も。何とぞ辨ぜよと再三勸る人もあり。初學の知るこ |
Z14_0183B16: | となく。惑亂せらるゝも。歎しければ。且く大綱の文 |
Z14_0183B17: | 義を擧て。其妄言妄義を彈駁すと云ことしかり。于時 |