浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0152A01: | 慈を修することにては。曾てなければ。何ぞ之を卽心 |
Z14_0152A02: | 念佛なりと云んや。さて如レ此稱名念佛に付て。一心 |
Z14_0152A03: | 三觀を修する方までも收めん爲。四明。約心觀佛と云 |
Z14_0152A04: | ず。卽心念佛との玉へり等とは。甚だ聞えぬ云分な |
Z14_0152A05: | り。四明の念佛會は。俗男兒女までも。簡ばず結し入 |
Z14_0152A06: | 玉ふが故。淨社疏の文明かに。たゞ本願事相の稱名に |
Z14_0152A07: | して。一心三觀を修する。卽心念佛には非ず。談義本 |
Z14_0152A08: | には。卽心念佛を。亦約心觀佛とも云と。明かに云れ |
Z14_0152A09: | しに。此度は其口を俄かに翻轉し。約心觀佛と云ず。 |
Z14_0152A10: | 卽心念佛との玉へりと云て。卽心念佛と。約心觀佛と |
Z14_0152A11: | を。別に簡びわけらるゝは。何事ぞや。此は辨僞に。四 |
Z14_0152A12: | 明の卽心念佛との玉ふは。卽ち約心觀佛のことにし |
Z14_0152A13: | て。專ら圓妙の觀念なれば。談義本の如く。口にて念 |
Z14_0152A14: | 佛申すことにてはなしと。重重難詰せられて。術なさ |
Z14_0152A15: | に。跡より猫を畫き加んとて。かゝる妄料簡を巧み |
Z14_0152A16: | 出さるゝものと見えたり。か樣に時に隨て。立義を改 |
Z14_0152A17: | 張し。十疑論や。淨社疏杯を。重重僻解して。道俗を惑 |
Z14_0152B01: | 亂せらるゝは。此ぞ眞に謗法の罪を造らるゝと云も |
Z14_0152B02: | のなれば。千萬笑止に存するなり。 |
Z14_0152B03: | 庵主曰。彼人。文字學問。一向不埓なること。昔より |
Z14_0152B04: | 今に同ことなり。此云分にては。但の字が。顛倒な |
Z14_0152B05: | り。當但とあるべきことなり。尤加樣の言は。當の |
Z14_0152B06: | 字の上にあることあれども。今彼人の見樣にては。 |
Z14_0152B07: | 顛倒なり。譯文などしたる人は。初心なる人も。合 |
Z14_0152B08: | 點の行くことなり。去ども今但の字が上にある譯 |
Z14_0152B09: | は。初心なる人は。ちとすみにくかるべきか。初心 |
Z14_0152B10: | の人の思惟の爲なれば。其譯云ず。 |
Z14_0152B11: | 加樣に云を。文字に精き人が。見たらば。それほ |
Z14_0152B12: | どのことにてはなきにと。笑ふべけれども。 |
Z14_0152B13: | 彈曰。此は例の人と論ずるに。自分が墮負する樣にな |
Z14_0152B14: | れば。文字穿鑿して紛らかさるゝ。くせが出たり。此 |
Z14_0152B15: | 方の云分にては。但の字顛倒とは。何と妄見せらるゝ |
Z14_0152B16: | や。但の字當の字の上に在ても。なる程此方の云分に |
Z14_0152B17: | 符ふなり。但當レ稱二彼佛號一とあるは。此方の云ふ通り |