浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0145A01: | るや。其明文を出さるべし。卽心觀佛とは。明かにあ |
Z14_0145A02: | れども。卽心稱佛と云文。なきからは。いよ〱此序 |
Z14_0145A03: | 文は。觀念に限ること顯然なり。 又此度念佛とは。 |
Z14_0145A04: | 觀稱に通ずるが故。余は。其中の卽心稱名念佛の方を |
Z14_0145A05: | 取て勸ると云るゝ。此卽心稱名念佛とは。前代未聞。 |
Z14_0145A06: | 珍しき名目を。いひ出されたり。天台四明の疏鈔に。 |
Z14_0145A07: | 此名目もあることなりや。但し其方の。新しき自作な |
Z14_0145A08: | りや。不審なり。又其中の卽心稱名念佛と云るゝ其中 |
Z14_0145A09: | とは。四明の卽心念佛との玉ふ。念佛の中をさゝれた |
Z14_0145A10: | ると。聞えたるが。四明は此經の念佛を。竝に觀佛と |
Z14_0145A11: | は釋し玉へども。終に稱佛との玉ふことは。一處もな |
Z14_0145A12: | く。卽心觀佛とはあれども。卽心稱名念佛とは。妙宗 |
Z14_0145A13: | の始終に曾てなし。已に曾てなきからは。四明の卽心 |
Z14_0145A14: | 念佛の。其中より取られたるとは。全く見えず。たゞ |
Z14_0145A15: | 其方の。妄料簡の。其中より自ら出されたる。卽心稱 |
Z14_0145A16: | 名念佛と聞ゆるなり。又談義本の初に。卽心念佛と |
Z14_0145A17: | 云ふ名を立て。專ら弘め玉へるは。四明尊者なりと云 |
Z14_0145B01: | て。妙宗の序文を引きながら。四明の思議を忘るゝ心 |
Z14_0145B02: | 妙觀にて。佛の相好を。觀佛することは全く云ず。た |
Z14_0145B03: | ゞ口にて念佛申すことをいひ。くりかへし思ふたり。 |
Z14_0145B04: | 覺えたりすることを談ぜられて。初に四明尊者の。卽 |
Z14_0145B05: | 心念佛と。標し出されしとは。大に違ふが故。譬へば |
Z14_0145B06: | 看版には。すさまじき虎を畫き出して。而も虎にはあ |
Z14_0145B07: | らぬ猫を見せるが如しと。辨僞に難ぜられて。百計思 |
Z14_0145B08: | 惟し。四明の卽心念佛の言は。稱念にも通ずると。此 |
Z14_0145B09: | 度跡より云るゝは。譬へば。眼ある人に。虎にはあら |
Z14_0145B10: | ぬ猫なりと。尤められて。跡より看板に。猫をそつと |
Z14_0145B11: | 畫き添て。看版は虎ばかりにてはなし。なる程猫も畫 |
Z14_0145B12: | てあるが故。此方は看板の中の。猫の方を見せたれ |
Z14_0145B13: | ば。過なしと云んが如し。もと一枚の看版に。たゞ虎 |
Z14_0145B14: | ばかりを。大きに畫きたるものなるに。其脇に跡より |
Z14_0145B15: | 猫を畫き添たるは。其の間配が惡き故。跡より俄かに |
Z14_0145B16: | 拵へ畫きたるものと。見ゆること決定なり。今も亦そ |
Z14_0145B17: | の如く。初に標せられし。四明尊者の。卽心念佛は。心 |