浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z09_0132A01: | は。返々うれしくたのもしく候。しらず。いくめぐりの |
Z09_0132A02: | 生死のくるしみをかうけんに。いかにとして。此たび |
Z09_0132A03: | か〻る本願をきく事を得たるぞやなどは。さすがに |
Z09_0132A04: | しみ〲と覺えぬべき事にて候なり。 |
Z09_0132A05: | 御經はくるしげなれども。御念佛は物うくもなきと |
Z09_0132A06: | いふ御事。まことにさにこそ侍るべけれ。くるしうも |
Z09_0132A07: | おはしまさぬは。これぞ菩薩のことにえらばせ給ひ |
Z09_0132A08: | し易行の德。又如來のわけて照させ給ふ不捨の益な |
Z09_0132A09: | るべし。 |
Z09_0132A10: | 御ずずもちたるおりの樣に。た※のおりひまなく念 |
Z09_0132A11: | 佛の申されぬとの御事。これ又さだめてさある事に |
Z09_0132A12: | て候。まことにいづれにてもひまなく申すこそよき |
Z09_0132A13: | 事にておはしませども。すこしの御おこたりを。さま |
Z09_0132A14: | で佛のかはりがましく思召うとむ事はあるまじきわ |
Z09_0132A15: | ざなり。佛の御誓ひは。心ながき樣にて。ちとのちがひ |
Z09_0132A16: | めにてに。くしと心がはりし給ふ御事は更に有べから |
Z09_0132A17: | ず。さるにつけてもこなたよりは。又かまへて目みせ |
Z09_0132B01: | にくからず。よく振舞むと執すべきにて候。 |
Z09_0132B02: | 御念佛のおり。いたづら事の案ぜらる〻との御事。こ |
Z09_0132B03: | れも凡夫の習ひ力なき事なり。是をきらひては。誰か |
Z09_0132B04: | 往生をとげ侍らん。されば高野の明遍僧都。吉水の上 |
Z09_0132B05: | 人に見參の時問ふて云く。いか※してこのたび生死 |
Z09_0132B06: | を離れ候べき。上人答てのたまはく念佛して極樂に |
Z09_0132B07: | 生ずべしとこそしりて候へ。明遍又云く。それはかた |
Z09_0132B08: | のごとくさしりて侍る。あまりに妄念のをこり候を |
Z09_0132B09: | ばいか※はし申すべきや。上人云く。妄念發れども。申 |
Z09_0132B10: | せば往生すとしりてこそ侍れとの給ひければ。◆あ |
Z09_0132B11: | らばとて明遍はたちてけり。其後上人內へいり樣に。 |
Z09_0132B12: | 事々しき問樣かな。妄念をきらはん事は。生のつきた |
Z09_0132B13: | る目鼻をとりすてんといはん程の事ぞと仰ありけ |
Z09_0132B14: | れば。これをきく人皆疑をはれて悉く往生を遂げた |
Z09_0132B15: | りとこそ申し傳へて侍るめれ。 |
Z09_0132B16: | 心行雜決 |