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Z0470 唯信鈔 聖覚 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0065A01: 唯信鈔
Z09_0065A02: 安居院法印 聖覺 作
Z09_0065A03: それ生死をはなれ。佛道をならはんとおもはんに。ふ
Z09_0065A04: たつのみちあるべし。ひとつには聖道門。ふたつには
Z09_0065A05: 淨土門なり。
Z09_0065A06: 聖道門といふは。この娑婆世界にありて行をたて功
Z09_0065A07: をつみて。今生に證をとらむとはげむなり。いはゆる
Z09_0065A08: 眞言をおこなふともがらは。卽身に大覺のくらゐに
Z09_0065A09: のぼらんとおもひ。法華をつとむるたぐひは。今生に
Z09_0065A10: 六根の證をえむとねがふなり。まことに敎の本意
Z09_0065A11: しかるべけれども。末法にいたり濁世にをよびぬれ
Z09_0065A12: ば。現身にさとりをうること。億々の人の中に一人も
Z09_0065A13: ありがたし。これによりていまのよにこの門をつと
Z09_0065A14: むる人は。卽身の證においてはみづから退屈のこ〻
Z09_0065A15: ろをおこして。あるひははるかに慈尊の下生を期し
Z09_0065A16: て。五十六億七千萬歲のあかつきのそらをのぞみ。あ
Z09_0065B01: るひはとほく後佛の出世をまちて。多生曠劫流轉生
Z09_0065B02: 死のよるのくもにまどへり。あるひはわづかに靈山
Z09_0065B03: 補陀落の靈地をねがひ。あるひはふた〻び天上人間
Z09_0065B04: の小報をのぞむ。結緣まことにたふとむべけれども。速
Z09_0065B05: 證すでにむなしきににたり。ねがふところなほこの
Z09_0065B06: 三界のうち。のぞむところまた輪廻の報なり。なにの
Z09_0065B07: ゆゑかそこばくの行業慧解をめぐらして。この小報
Z09_0065B08: をのぞまむや。まことにこれ大聖をさること〻ほき
Z09_0065B09: により。理ふかくさとりすくなきがいたすところか。
Z09_0065B10: ふたつには淨土門といふは。今生の行業を廻向して。
Z09_0065B11: 順次生に淨土に生じて。淨土にして菩薩の行を具足
Z09_0065B12: して。佛にならむと願ずるなり。この門は末代の機に
Z09_0065B13: かなへり。まことにたくみなりとす。この門にまたふ
Z09_0065B14: たつのすぢわかれたり。ひとつには諸行往生。ふたつ
Z09_0065B15: には念佛往生なり。諸行往生といふは。あるひは父母
Z09_0065B16: に孝養し。あるひは師長に奉事し。あるひは五戒八戒
Z09_0065B17: をたもち。あるひは布施忍辱を行じ。乃至三密一乘の

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