浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z09_0065A01: | 唯信鈔 |
Z09_0065A02: | 安居院法印 聖覺 作 |
Z09_0065A03: | それ生死をはなれ。佛道をならはんとおもはんに。ふ |
Z09_0065A04: | たつのみちあるべし。ひとつには聖道門。ふたつには |
Z09_0065A05: | 淨土門なり。 |
Z09_0065A06: | 聖道門といふは。この娑婆世界にありて行をたて功 |
Z09_0065A07: | をつみて。今生に證をとらむとはげむなり。いはゆる |
Z09_0065A08: | 眞言をおこなふともがらは。卽身に大覺のくらゐに |
Z09_0065A09: | のぼらんとおもひ。法華をつとむるたぐひは。今生に |
Z09_0065A10: | 六根の證をえむとねがふなり。まことに敎の本意 |
Z09_0065A11: | しかるべけれども。末法にいたり濁世にをよびぬれ |
Z09_0065A12: | ば。現身にさとりをうること。億々の人の中に一人も |
Z09_0065A13: | ありがたし。これによりていまのよにこの門をつと |
Z09_0065A14: | むる人は。卽身の證においてはみづから退屈のこ〻 |
Z09_0065A15: | ろをおこして。あるひははるかに慈尊の下生を期し |
Z09_0065A16: | て。五十六億七千萬歲のあかつきのそらをのぞみ。あ |
Z09_0065B01: | るひはとほく後佛の出世をまちて。多生曠劫流轉生 |
Z09_0065B02: | 死のよるのくもにまどへり。あるひはわづかに靈山 |
Z09_0065B03: | 補陀落の靈地をねがひ。あるひはふた〻び天上人間 |
Z09_0065B04: | の小報をのぞむ。結緣まことにたふとむべけれども。速 |
Z09_0065B05: | 證すでにむなしきににたり。ねがふところなほこの |
Z09_0065B06: | 三界のうち。のぞむところまた輪廻の報なり。なにの |
Z09_0065B07: | ゆゑかそこばくの行業慧解をめぐらして。この小報 |
Z09_0065B08: | をのぞまむや。まことにこれ大聖をさること〻ほき |
Z09_0065B09: | により。理ふかくさとりすくなきがいたすところか。 |
Z09_0065B10: | ふたつには淨土門といふは。今生の行業を廻向して。 |
Z09_0065B11: | 順次生に淨土に生じて。淨土にして菩薩の行を具足 |
Z09_0065B12: | して。佛にならむと願ずるなり。この門は末代の機に |
Z09_0065B13: | かなへり。まことにたくみなりとす。この門にまたふ |
Z09_0065B14: | たつのすぢわかれたり。ひとつには諸行往生。ふたつ |
Z09_0065B15: | には念佛往生なり。諸行往生といふは。あるひは父母 |
Z09_0065B16: | に孝養し。あるひは師長に奉事し。あるひは五戒八戒 |
Z09_0065B17: | をたもち。あるひは布施忍辱を行じ。乃至三密一乘の |