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Z0450 閑亭後世物語 隆寛 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0036A01: れて。往生もいか※あらんと(うたがは)れ候はいか※候べき。
Z09_0036A02: 答。佛の本願と申は元來か〻る(あく)(ごう)ふかき衆生のため
Z09_0036A03: とおこし給へる也。然を我心のわるければ。よも佛の
Z09_0036A04: 御心に叶はじと思こそ。軈て本願を疑にて候へ。善導
Z09_0036A05: の釋にも。罪惡生死の凡夫なれば。常に()(てん)して出離
Z09_0036A06: の緣有事なし。煩惱具足して善根(はく)(せう)なれば。(いまだ)(くわ)
Z09_0036A07: (たく)を出ずと候めれば(いかで)かよき心發るべき。たとひ淸
Z09_0036A08: き心(をこる)とも。なをし水に()(がける)がごとしと(ぜん)(だう)も仰ら
Z09_0036A09: れたり。事(あたらしく)心のわろきなど候こそ(いはれ)なく覺へ候べ
Z09_0036A10: き。
Z09_0036A11: 問。さて此歎は如何候べき。一念も()(しん)なかれとこそ
Z09_0036A12: 候なるに。常には如何あらんずらむとのみ覺へ候ぞ
Z09_0036A13: や。答。疑に二の樣候べし。一には佛の本願を疑。此心
Z09_0036A14: (ふかく)(いましめ)たり。二には我身を疑。此心をばゆるさるべし。
Z09_0036A15: (きやう)には疑へども(うまる)(とか)れたれば。佛は兼て(しろし)(めす)
Z09_0036A16: ん。凡夫は定て疑べしと。されば善導も。衆生の(しや)()
Z09_0036A17: 佛の說き給はんをば疑て信ぜざらん事を(あはれみ)て。六方
Z09_0036B01: (こう)(じや)の諸佛も。眞實なりと證誠し給へりと釋せられ
Z09_0036B02: たり。わろしと疑はくるしからぬ事也。或時上人の給
Z09_0036B03: はく。哀此度しおほせばやと。其時乘願房申て云く。上
Z09_0036B04: 人だにもか樣に不定げなる仰の候はんには。まして
Z09_0036B05: 其餘の人は如何候べき。上人うち嘆て。(まさしく)(れん)(だい)(のぼ)
Z09_0036B06: ん迄は。爭か此思はたゆむべきと被仰けり。珍海決定
Z09_0036B07: 往生集には。念佛は疑へども申さば必ず往生すと云
Z09_0036B08: り。往生要集には。疑へども生る〻は佛の()(ぐわん)の故
Z09_0036B09: 也。云く疑へどもくるしからずと聞時。疑はながくた
Z09_0036B10: へぬる事也。
Z09_0036B11: 問。念佛はやすき故に我等が機に叶へり。若し堪たる
Z09_0036B12: 機あらば。餘行を修しても往生すべきや。答。念佛は
Z09_0036B13: 易き故と云は。一往の義也。再往眞實に此を云へば。念
Z09_0036B14: 佛はすぐれたる故に。本願に發し給へり。此故に。たと
Z09_0036B15: ひ堪たる機有とも。餘行は本願にあらざる故に。行ず
Z09_0036B16: べからず。(まさ)(なり)(しん)(わう)の御尋に依て。()()()法印聖覺の
Z09_0036B17: うけ文に。御念佛の間の御用心は。一切の善根の中に。

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