浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0346A01: | こ〻ろのほかにかけて見るかな |
Z08_0346A02: | さてこの終の句は。無間修の心也。歌の詞は大樣な |
Z08_0346A03: | れども。心は念時日の三相續の義をふくめり。され |
Z08_0346A04: | ば勅集には。かけぬ間ぞなきとあり。上人此御ねが |
Z08_0346A05: | ひ相續して。遂に建久九年の春。生年六十六にて。口 |
Z08_0346A06: | 稱三昧を發得し給へり。その時の歌。次下にあるべ |
Z08_0346A07: | し。此和歌。御身の上を詠じて。世人をす〻め給へ |
Z08_0346A08: | り。西方の行者は。常に彼佛にまみえんことを念じ |
Z08_0346A09: | て。つかの間もわするまじきなり。 |
Z08_0346A10: | 頭往生十因ニ云。閑窻ニ暮サハレ〓〓。澄シメ二心ヲ八功德ノ |
Z08_0346A11: | 池ニ一。空牀ニ曉サハレ夜ヲ。係ケ二念ヒヲ滿月尊容ニ一。付テ二花ノ |
Z08_0346A12: | 色月ノ光ニ一。觀シ二彌陀之相好ヲ一。寄テモ二風ノ音鳥ノ聲ニ一。 |
Z08_0346A13: | 思フ二淨土ノ樂音一云云。○又云。問。凡夫ノ行者ハ。心ハ如シ二 |
Z08_0346A14: | 野馬ノ一。專二-念ス𪜈佛名ヲ一。何ソ得ン二無間ヲ一。答。誰カ言ク。初 |
Z08_0346A15: | 心ノ行者。全ク不トハレ雜二-起セ餘念ヲ一。導和尙云。若貪瞋 |
Z08_0346A16: | 等ノ煩惱來リ間テハ。隨テレ犯ニ隨テ懺シ。不下隔テレ念ヲ隔テレ |
Z08_0346A17: | 時ヲ隔上レ日ヲ。常ニ使ルヲ二淸淨ナラ一。亦名ク二無間修ト一云云。 |
Z08_0346A18: | 此歌に付て。心のつまといふ詞をあやしむものあ |
Z08_0346A19: | り。すでに勅撰に入りたる上は。今さら管見の者の |
Z08_0346A20: | 議すべき樣なし。いはんや。此詞めづらしき事にあ |
Z08_0346B01: | らず。其證據を引くべし。 |
Z08_0346B02: | 狹衣云。ひるはをのづからまぎれ給ふ心のつまと |
Z08_0346B03: | かいひふるしたると云云。 |
Z08_0346B04: | 八雲御抄云。詞のけだかきは源氏狹衣なり。此等を |
Z08_0346B05: | 少もうかがはざらん歌人は。其下のことなりとぞ。 |
Z08_0346B06: | 古人も申侍りと云云。 |
Z08_0346B07: | 愚問賢注云。物語の心。さのみ不可詠の由申て侍れ |
Z08_0346B08: | ども。常に見え侍るや。蓬生の本の心。狹衣の草の |
Z08_0346B09: | 原。目なれて侍る云云。 |
Z08_0346B10: | 頭兼好家集下。いつかまた世の浮雲の外にみん。 |
Z08_0346B11: | 是より西にすめる月かけ。○上人狹衣の詞を取 |
Z08_0346B12: | り給へり。古人おほく用ひてよめり。○狹衣二に。 |
Z08_0346B13: | 尋ぬへき草の一原さへ霜かれて。誰にとはまし道 |
Z08_0346B14: | 芝の露。○是を取りて俊成卿女。霜枯はそことも |
Z08_0346B15: | みしそ草の原。誰にとはまし秋の名殘を。○後京 |
Z08_0346B16: | 極殿も。こたふへき荻の葉風も霜枯て。誰にとは |
Z08_0346B17: | まし秋のわかれち。 |
Z08_0346B18: | ○秋 |
Z08_0346B19: | 阿彌陀佛にそむる心の色にいては |
Z08_0346B20: | 秋の木すゑのたくひならまし |