浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0213A01: | ひ給へるか。爲家月のこるさかの〻寺のかねのねに。つ |
Z08_0213A02: | ねに浮世の夢やさめなん。月をつくといふ緣の詞とす。○興にのり |
Z08_0213A03: | ぬべきとは。さいはいになが月の。有明の月のおもし |
Z08_0213A04: | ろき景を見て。興に乘じてかへるべしと也。さて是は |
Z08_0213A05: | 子猷尋戴の故事にて書き給へり。いにしへ。もろこし |
Z08_0213A06: | に王子猷といひし人。山陰といふ處に住みけり。雪の |
Z08_0213A07: | はれたる夜。月あきらかなるに。妻戶をおしあけて。酒 |
Z08_0213A08: | をのみて四方をのぞめば。いづかたも皓然としろく |
Z08_0213A09: | して。いとおも白かりければ。何となくた▲ずみて。左 |
Z08_0213A10: | 思が招隱の詩を詠じけるに。いと▲興おさへがたく |
Z08_0213A11: | して。あはれもの〻心えたらん友と。是をながめばや |
Z08_0213A12: | とおもふに。戴安道といふ友だちの。剡州といふ處に |
Z08_0213A13: | 居たりけるをおもひいで〻。やがて舟にのりて。河に |
Z08_0213A14: | そひて下りゆけり。戴安道が門ちかくなるほどに。あ |
Z08_0213A15: | ひなく夜のほの〱とあけたりければ。行もつかず |
Z08_0213A16: | してそのま〻かへりけり。人いかにと問ければ。興に |
Z08_0213A17: | 乘じてこ〻にいたり。夜あけ興つきぬ。なんぞかなら |
Z08_0213A18: | ずしも。戴安道にまみえんとぞいひける。晉書にあり。 |
Z08_0213A19: | 書言故事第四圓機活法詩二。月淸集の歌に。山かせや花の雪ちる明ほの |
Z08_0213A20: | 〻。木の間の月にたれをたつねんと侍るも。右の故事 |
Z08_0213B01: | を本としてよみ給へるなり。●(八十)兩度とは。去年の |
Z08_0213B02: | 秋は。眞如堂にして聽聞し。ことしの秋は。釋迦堂にし |
Z08_0213B03: | て聞給へる也。二尊遣迎とは。釋尊の發遣と。彌陀尊 |
Z08_0213B04: | の來迎と也。此二字は大師の釋にあり。上卷のはじめ |
Z08_0213B05: | に註せり。○化風とは。異僧の敎化を風にたとへ。聽者 |
Z08_0213B06: | の疑惑を霧にたとへて書き給へり。○蒙霧とは。蒙は |
Z08_0213B07: | 愚蒙の心也。霧はきりなり。時しも秋なれば。霧の字を |
Z08_0213B08: | 書き給へり。○論語ニ云ク。君子之德ハ風ナリ。已上任彥升カ |
Z08_0213B09: | 策セシ二秀才ヲ一文ニ云ク。上之化スルヿレ下ヲ。草ノ如ニ偃シ。風ノ如ニ |
Z08_0213B10: | 從フ。已上吳志ノ三ニ云ク。蒙霧連月ト。已上揚子雲カ甘泉ノ |
Z08_0213B11: | 賦ニ云ク。霧ノ如ニ集テ而蒙ノ如ニ合フ兮。已上註ニ濟カ曰ク。霧ハ |
Z08_0213B12: | 地氣ナリ。蒙ハ天氣ナリ。已上●(八十一)これ此鈔筆記の所 |
Z08_0213B13: | 以をしるしたまへり。すでに本尊より。松の枝をたま |
Z08_0213B14: | はりて。しるしたまへる書なれば。彌陀一敎。利物偏 |
Z08_0213B15: | 增の兆瑞しるし。後の世まで。色かはらずして流布す |
Z08_0213B16: | べし。いとたのもしきわざなり。○先聞とは。歸命鈔 |
Z08_0213B17: | の事なり。かの鈔と。この鈔と一具として。他日に又の |
Z08_0213B18: | これるをひろひて。手づから父子相迎を書きそへ給 |
Z08_0213B19: | へり。すべて是を三部のかな書といふ。又二尊の夢の |
Z08_0213B20: | 御示現に依て書きたまへれば。瑞夢の鈔ともいふ。又 |