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Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0175A01: 念にして往生とげぬ。それより處のもの。かれにあや
Z08_0175A02: からんとて。南無阿彌陀佛をあらためて。えもみゑは
Z08_0175A03: うとのみとなへたりけり。これ大愚癡のあやまりな
Z08_0175A04: り。かの法師の心には。南無阿彌陀佛をとなへけれど
Z08_0175A05: も。やまひにて。ゑもみえほうとこそは。きこえたり
Z08_0175A06: けめ。いかでか。それをまなびて往生をとぐべきや。
Z08_0175A07: 非因計因のあやまりなり。今の世にもさま〲。おか
Z08_0175A08: しき念佛の申やうありときこゆ。みなあやまりのい
Z08_0175A09: たり。愚癡のきはまりなり。是よりすゑの世には。い
Z08_0175A10: かなる事をか。となへ侍らん。あさましき事なり。く
Z08_0175A11: はしく了譽上人の。破邪顯正義といふものにあり見
Z08_0175A12: るべし。●(十二)これ十德の中の第八なり。○こそり
Z08_0175A13: てとは。こと〲くといふ心なり。伊勢物語の抄に。
Z08_0175A14: 世擧時などいふも。皆といふ心なりと有。萬葉には悉の字を
Z08_0175A15: 訓す。○ほいは本意なり。十萬の諸佛。みな念佛に依て
Z08_0175A16: 成佛し給へるゆへ。本意とおぼしめすなり。またこれ
Z08_0175A17: 不可思議功德の名號なれば也。○たとひ高聲ならず
Z08_0175A18: とも。念佛すれば。よろこび給ふゆへ。いよ〱といふ。
Z08_0175A19: ○さればこそ舌をのべて。證人にもたち給ひたる事
Z08_0175A20: なれ。念佛鏡。非但釋迦念佛。得玉フノミニ
Z08_0175B01: 。十方三世諸佛。皆因念佛三昧。當玉フ成佛
Z08_0175B02: 月燈三昧經。十方三世。一切過去未來及現
Z08_0175B03: 佛。皆學念佛。速スト無上菩提。故。三
Z08_0175B04: 諸佛。皆因念佛。當成佛已上○た▲諸佛の
Z08_0175B05: 歡喜のみにあらず。諸神もまたよろこび給ふ。むかし
Z08_0175B06: ひえの山。楞嚴院般若谷の住侶。玉泉房の阿闍梨實秀
Z08_0175B07: といふ人。日吉の念佛堂に參籠して。夜もすがら行道
Z08_0175B08: し。一心稱名の行をいたし。時曉更にをよびて。聖眞
Z08_0175B09: 子權現の神殿より。詠じいだし給ひける御歌。ちはや
Z08_0175B10: ふる玉のすだれをまきあげて。念佛のこゑをきくぞ
Z08_0175B11: うれしきと。まのあたりこれをきける人。兩三人なり。
Z08_0175B12: 述懷抄にあり。又玉葉集神祇部に見ゆ。又德治三年の春の比。新熊野に本山
Z08_0175B13: の衆どもうつりゐて。をこなひなどしけるに。ある人
Z08_0175B14: (コト)をひきて。手向たてまつらんとしける。かたはら
Z08_0175B15: に。高聲念佛を申人の侍けるを。いとはしく覺て。う
Z08_0175B16: ちまどろみ侍ける夢に見えける歌。夜もすがら佛の
Z08_0175B17: 御名をとなふれば。こと人よりもなつかしきかな。
Z08_0175B18: 玉葉集第二十。又賀茂の明神は。勢多の尼公につげて。われは
Z08_0175B19: 彌陀の念佛をこのむとしめし給へり故事談にあり。くわしく女人往生傳にの
Z08_0175B20: せたり。又山王權現は。彌陀一敎。利物偏增の文を。每日

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