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Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0132A01: ふに。これ往生の徑路を。祈請し給はんとの宿願あり
Z08_0132A02: て。こもり給へるなるべし。その先例もあり。黑谷上
Z08_0132A03: 。保元々年。上人二十四の歲。叡空上人にい
Z08_0132A04: とまをこひて。嵯峨の淸凉寺に。七日參籠の事ありき。
Z08_0132A05: 求法の一事を祈請のためなりけり。この寺の本尊。釋
Z08_0132A06: 迦善逝は。西天の雲をいで。東夏の霞をわけて。三國
Z08_0132A07: につたはり給へる靈像なれば。とりわき懇志をはこ
Z08_0132A08: び給ひけるも。ことはりにぞおぼえ侍る。已上○小野
Z08_0132A09: 宮右府。永延元年八月十八日。法橋上人位奝
Z08_0132A10: 然申。以()()()。號五臺山淸凉寺。建-
Z08_0132A11: シテ伽藍。置ント栴檀釋迦尊像云云。此釋迦は。奝
Z08_0132A12: 然入宋して渡したてまつる佛なり。た▲し。淸凉寺と
Z08_0132A13: いふ名は。むかしより有しなり。貞觀七年の國史に見
Z08_0132A14: へたり。又李邦王記に。天慶の比。捿霞寺釋迦堂としる
Z08_0132A15: せり。奝然わたし侍るより。さきにも釋迦堂とありし
Z08_0132A16: なり。●(二)處も處。時も時なれば。先づその景氣をい
Z08_0132A17: ふなり。○みぎりとは。庭の氣色をいふ。○かすかとは。
Z08_0132A18: さびしき義なり。○とき秋なればとは。秋は陰に催ほ
Z08_0132A19: されて。人のかなしむ時也。○とりあつめたる物のあ
Z08_0132A20: はれとは。節物の心をいたましむる義なり。月の光。
Z08_0132B01: 風の音。紅葉の色。蟲の聲。野邊の露。朝の霜などの事
Z08_0132B02: を。とりあつめたるといふなり。拾遺集(よみ人しら
Z08_0132B03: ず)春はた〻花のひとへにさくはかり。物のあはれは
Z08_0132B04: 秋そまされる。○をしはかるは推量なり。○なんは。下
Z08_0132B05: 知の詞なり。○倭名鈔。兼名苑。砌一名階。砌音細訓
Z08_0132B06: 美岐利。○韓愈。僻寺景還ナリ。樂天。大抵
Z08_0132B07: 四時心總ネンゴロ膓斷ヿ〓天。于文集十四
Z08_0132B08: 紀納言詩序。凡情之難堪者。莫タルハ於秋
Z08_0132B09: ヨリ本朝文粹第十一增鏡第三。門田の稻の風になびく
Z08_0132B10: けしき。つまとふ鹿のこゑ。衣うつきぬたの音。峯の
Z08_0132B11: 秋風。野邊の松蟲。とりあつめ。あはれそひたるところ
Z08_0132B12: のさまにと有。內野の卷に見ゆ。榮花物語。本のしづくの卷に云
Z08_0132B13: く。八九月になれば。木々のこの葉も枝にとまらず。蟲
Z08_0132B14: のこゑ〲物おもひしりがほに。おぎふく風の音も
Z08_0132B15: そぞろさむく。旅ねの鴈のたよりなげなるこゑもみ
Z08_0132B16: みとまりて。おく山の鹿もいと▲いやめに思ひやら
Z08_0132B17: れ。よろづあはれに心ぼそき夕ぐれとあり。●(三)これ
Z08_0132B18: 目前の景なり。九月の末なれば。紅葉の色もふか〻る
Z08_0132B19: べし。黃▽纈とは。黃なる地に赤き紋のある絹なり。う
Z08_0132B20: す紅葉の黃なるは地に似たり。赤き葉の少みゆるは

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