浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
Z08_0132A01: | ふに。これ往生の徑路を。祈請し給はんとの宿願あり |
Z08_0132A02: | て。こもり給へるなるべし。その先例もあり。黑谷上 |
Z08_0132A03: | 人ノ傳ニ云ク。保元々年。上人二十四の歲。叡空上人にい |
Z08_0132A04: | とまをこひて。嵯峨の淸凉寺に。七日參籠の事ありき。 |
Z08_0132A05: | 求法の一事を祈請のためなりけり。この寺の本尊。釋 |
Z08_0132A06: | 迦善逝は。西天の雲をいで。東夏の霞をわけて。三國 |
Z08_0132A07: | につたはり給へる靈像なれば。とりわき懇志をはこ |
Z08_0132A08: | び給ひけるも。ことはりにぞおぼえ侍る。已上○小野 |
Z08_0132A09: | 宮右府ノ記ニ云ク。永延元年八月十八日。法橋上人ノ位奝 |
Z08_0132A10: | 然申シ請テ云ク。以テ二愛太子山ヲ一。號シ二五臺山淸凉寺ト一。建二- |
Z08_0132A11: | 立シテ一ノ伽藍ヲ一。置ント二栴檀釋迦ノ尊像ヲ一云云。此釋迦は。奝 |
Z08_0132A12: | 然入宋して渡したてまつる佛なり。た▲し。淸凉寺と |
Z08_0132A13: | いふ名は。むかしより有しなり。貞觀七年の國史に見 |
Z08_0132A14: | へたり。又李邦王記に。天慶の比。捿霞寺釋迦堂としる |
Z08_0132A15: | せり。奝然わたし侍るより。さきにも釋迦堂とありし |
Z08_0132A16: | なり。●(二)處も處。時も時なれば。先づその景氣をい |
Z08_0132A17: | ふなり。○みぎりとは。庭の氣色をいふ。○かすかとは。 |
Z08_0132A18: | さびしき義なり。○とき秋なればとは。秋は陰に催ほ |
Z08_0132A19: | されて。人のかなしむ時也。○とりあつめたる物のあ |
Z08_0132A20: | はれとは。節物の心をいたましむる義なり。月の光。 |
Z08_0132B01: | 風の音。紅葉の色。蟲の聲。野邊の露。朝の霜などの事 |
Z08_0132B02: | を。とりあつめたるといふなり。拾遺集(よみ人しら |
Z08_0132B03: | ず)春はた〻花のひとへにさくはかり。物のあはれは |
Z08_0132B04: | 秋そまされる。○をしはかるは推量なり。○なんは。下 |
Z08_0132B05: | 知の詞なり。○倭名鈔ニ云ク。兼名苑ニ云ク。砌一名階。砌音細訓 |
Z08_0132B06: | 美岐利。○韓愈ノ詩ニ云ク。僻寺景還テ幽ナリ。樂天ノ詩ニ云ク。大抵 |
Z08_0132B07: | 四時心總テ苦シ。ネンゴロ就テレ中ニ膓斷ヿ〓是レ秋ノ天。出二于文集十四ニ一。 |
Z08_0132B08: | 紀納言ノ詩序ニ云ク。凡ソ情之難キレ堪者ハ。莫レ過タルハ二於秋 |
Z08_0132B09: | 天ヨリ一。出二本朝文粹第十一ニ一。增鏡第三ニ云ク。門田の稻の風になびく |
Z08_0132B10: | けしき。つまとふ鹿のこゑ。衣うつきぬたの音。峯の |
Z08_0132B11: | 秋風。野邊の松蟲。とりあつめ。あはれそひたるところ |
Z08_0132B12: | のさまにと有。內野の卷に見ゆ。榮花物語。本のしづくの卷に云 |
Z08_0132B13: | く。八九月になれば。木々のこの葉も枝にとまらず。蟲 |
Z08_0132B14: | のこゑ〲物おもひしりがほに。おぎふく風の音も |
Z08_0132B15: | そぞろさむく。旅ねの鴈のたよりなげなるこゑもみ |
Z08_0132B16: | みとまりて。おく山の鹿もいと▲いやめに思ひやら |
Z08_0132B17: | れ。よろづあはれに心ぼそき夕ぐれとあり。●(三)これ |
Z08_0132B18: | 目前の景なり。九月の末なれば。紅葉の色もふか〻る |
Z08_0132B19: | べし。黃▽纈とは。黃なる地に赤き紋のある絹なり。う |
Z08_0132B20: | す紅葉の黃なるは地に似たり。赤き葉の少みゆるは |