ウィンドウを閉じる

Z0380 西要鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0125A01: 西要鈔上本諺註
Z08_0125A02: すぎにしなが月の二十日あまりのころ。いさ〻か(聊)
Z08_0125A03: ふるき源語願(宿願)ありて。淸凉寺に參籠の事侍り
Z08_0125A04: き。(一)みぎり(砌)かすかに。(幽肅然)日本紀とき秋なれば。と
Z08_0125A05: 源語あつめたる物のあはれ。た▲をしはかり(推量)
Z08_0125A06: なむ。(二)紅葉いろふかし。なにものか(クハヴ)(カウ)(ケツ)(𣏓葉色)
Z08_0125A07: にそめにけむ。白毫かげふり(舊)たり。たれの人か(シヤク)
Z08_0125A08: (セン)(ダン)をきざ(刻)めりし。(三)おり(時)にしたが(隨)へば。
Z08_0125A09: (カン)()もきはまらず。事にふ(觸)れては。信心ももよを(
Z08_0125A10: ほ)されて。七日とおもふもいと▲程なく。こよひば
Z08_0125A11: かりのなごりにしもなりにしかば。ことに心をおさ
Z08_0125A12: (攝)めて念誦などするに。(四)更たけ。夜しづかにし
Z08_0125A13: て。佛前に人まれなるほど。おいらかなるこゑして。南
Z08_0125A14: 無恩德廣大釋迦善逝と。たうとく禮するをと(音)すな
Z08_0125A15: り。げにぞ慈恩は廣大にいます(御座)と。いと▲きく心
Z08_0125A16: までも。もよを(ほ)されわたりぬ。(五)いかなる源語
Z08_0125A17: 人ならんとゆかしきに。とばかりありて。又釋迦はこ
Z08_0125A18: の方にして發遣すと。しのび(密)つ〻。うち(ジユ)せられた
Z08_0125A19: るこゑをきけば。こぞの秋。あけがたのきりのまよひ
Z08_0125B01: に。ゆくゑゆかしくて。やみにしひじりなりけり。(六)
Z08_0125B02: その〻ちはた▲。淨土の再會をこそ期しけるに。うれ
Z08_0125B03: しくも。この釋迦の()まへにしもあひ見つるかな。こ
Z08_0125B04: れやげに。眞如くちせぬちぎりならんと。ことにた
Z08_0125B05: のもしくおぼゆ。(七)こよひ又。いかでいみじき事ど
Z08_0125B06: も聽聞し侍らん。(コ〓)(セウ)ひ▲くといへども。た〻くをま
Z08_0125B07: ちてかならずなる。あはれさかし(賢)くと(問)ひてし
Z08_0125B08: 人もあらば。いかにえもいわず(は)こたへたまはむ。
Z08_0125B09: さりとて。さではえ(敢)あるまじければ。につかはし
Z08_0125B10: 源語からずとも。てづからや。たづねきこえんなど。
Z08_0125B11: ためらひ(猶豫)ゐたるほどに。(八)あの御つぼねより
Z08_0125B12: とて。これにこそまう(參)でこも(籠)りて侍れ。(ヲン)(シヨ)
Z08_0125B13: ()のひまにたちいりたまへなんやと。せうそこ(消息)
Z08_0125B14: すれば。や〻しばしありてわたり給ひぬ。(九)對面た▲
Z08_0125B15: (徒)にはあらじ。しかるべきついでに。又所得し侍り
Z08_0125B16: なむとうれしくて。やをら。かたつかた(偏)によりゐ
Z08_0125B17: つ〻きけば。(一〇)さるべきおとこのこゑして。つね
Z08_0125B18: に禪房にもまうづべくおもひ給へながら。たやすか
Z08_0125B19: らぬ身にて。山ふかき御すまゐ。はる〲とはえ(敢)
Z08_0125B20: おもひたちがたく。日にそへては。又公私にひまなく

ウィンドウを閉じる