浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
Z08_0063A01: | く物がたりするをきくに。みな此三心を。まなばず。な |
Z08_0063A02: | らはず。よく〱ならひたる人に。すこしもをとらず。 |
Z08_0063A03: | 此人はこれ自然に三心を具したる人なり云云。又む |
Z08_0063A04: | かし深澤法印信尊といふ僧。この三心をしらんため |
Z08_0063A05: | に。八幡宮にまうで〻いのり申ける時。御示現に。極 |
Z08_0063A06: | 樂へゆかんとおもふ心にて。南無阿彌陀佛といふそ |
Z08_0063A07: | 三心と。つげさせ給ひけるとなん。此事は鎌倉の宗要 |
Z08_0063A08: | 集にしるし給へり。玉葉集第十九にも。これをのせら |
Z08_0063A09: | れたり。詞に相違あり。みるべし。●(七四)さとりとは |
Z08_0063A10: | 義解の事なり。うけひきとは。源氏におほき詞なり。河 |
Z08_0063A11: | 海に承引する事とあり。事たらぬげとは。不足がまし |
Z08_0063A12: | くおもふなり。○おもひあへりとは。おもひさだむる |
Z08_0063A13: | 心なりと。歌林良材に見ゆ。○他宗の人は。もとより |
Z08_0063A14: | 大悲の願意に無案內なれば。みな此安心をあやしむ |
Z08_0063A15: | なり。自宗の中にも。小ざかしき人は。や〻もすれば。 |
Z08_0063A16: | 此ところを心得ずに覺て。いな〱。念佛の法には別 |
Z08_0063A17: | に奇特の樣あらん。いかでかたすけ給へとばかりに |
Z08_0063A18: | て。往生の大事をとげんやとて。みづから才學をあら |
Z08_0063A19: | はして。めづらしき義理をそへてす〻むるなめり。又 |
Z08_0063A20: | 往々に無智の僧ありて。禪法のかたはしをき〻あや |
Z08_0063B01: | まりて。をのれすでに玄理を得たりとて。人にをしへ |
Z08_0063B02: | ていはく。念佛申にも。たすけ給へとおもふ心のある |
Z08_0063B03: | ほどは。往生はえせじ。無念にしてうか〱と申せば。 |
Z08_0063B04: | 本願にかなふといふ。これおかしき事なり。すでに本 |
Z08_0063B05: | 願には。安心をとき給へり。行ひとりはこばず。心を |
Z08_0063B06: | 業の主とす。唯願唯行も往生せず。かまへて邪師の說 |
Z08_0063B07: | を信じて。ともに地獄におつることなかれ。嗚呼末代 |
Z08_0063B08: | とはいひながら。かゝるあさましき事こそなけれ。言 |
Z08_0063B09: | を無智の道俗につたふ。すべからく祖師のふるきお |
Z08_0063B10: | しへにまかすべし。つ〻しみて凡僧のあたらしきす |
Z08_0063B11: | すめにしたがふことなかれ。●(七五)念佛門に立い |
Z08_0063B12: | らぬ人は。うたがひをなさん事。うちまかせたること |
Z08_0063B13: | はりなるべし。こ〻が超世の悲願なり。機をいへば。五 |
Z08_0063B14: | 逆までをおさめ。行を願ずる時は。一念十念までを立 |
Z08_0063B15: | 給へり。安心をとらん時。いか▲又。いたりてやすき |
Z08_0063B16: | 心までをもおさめられざらん。○愚智とは淺智偏智 |
Z08_0063B17: | なり。無智とは一向の愚癡なり。俱舍ノ頌疏ニ云ク。癡ト |
Z08_0063B18: | 者愚癡ナリ。亦ハ名二無智ト一。無カ二決斷スルヿ一故ニ已上天台ノ云ク。 |
Z08_0063B19: | 善ク入ルヲ二佛法ニ一名レ慧ト。巧ニ用ヲ二佛法ヲ一名レ智ト。肇論ノ鈔ニ |
Z08_0063B20: | 云。智ハ則知也。慧ハ則見也。已上●(七六)上人ノ曰ク。聖 |