浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z08_0062A01: | 念佛すれば。すずろに三心はあるなり。さればこそ。世 |
Z08_0062A02: | にあさましき一文不通のともがらの中に。一筋に念 |
Z08_0062A03: | 佛するものは。臨終正念にして。めでたき往生どもを |
Z08_0062A04: | するは。現に證據あらたなる事なれば。露塵もうたが |
Z08_0062A05: | ふべからず。中々よくもしらぬ三心沙汰して。あしざ |
Z08_0062A06: | まに心得たる人々は。臨終のわろくのみありあひた |
Z08_0062A07: | るは。それにて。たれ〱も心得べきなり。七箇條起請文。● |
Z08_0062A08: | (六九)法然上人。わが念佛も阿波介が念佛も。おなじ |
Z08_0062A09: | 事なりとのたまへり。聖光上人は。たすけたまへ阿彌 |
Z08_0062A10: | 陀佛と。つねに心にもおもひ。口にもいふなりと仰ら |
Z08_0062A11: | れたり。良順上人云ク。たへひ智惠をそなへたりとも。 |
Z08_0062A12: | 往生に趣かん人は。ならひし智惠をば。心にわすれは |
Z08_0062A13: | て〻。無智のもの〻。又心なくうちたのみて念佛す |
Z08_0062A14: | る心なるべし。已上●法然上人の起請文にも。たとひ |
Z08_0062A15: | 一代の法を。よく〱學すとも。一文不知の愚鈍の身 |
Z08_0062A16: | になして。尼入道の無智のともがらに同して。智者 |
Z08_0062A17: | のふるまひをせずして。た▲一向に念佛すべしと。こ |
Z08_0062A18: | れ代々相傳の一大事なり。當流歷代の起請文をもみ |
Z08_0062A19: | るべし。●(七一)智者が上品にうまれ。愚者が下品に |
Z08_0062A20: | うまる〻にてもなし。滅罪の多少も。來迎の無有も。 |
Z08_0062B01: | た▲信心による。智惠にはよらず。何事も佛の御しは |
Z08_0062B02: | ざなり。人の賢愚にはよらず。●(七二)ならひて得る |
Z08_0062B03: | を。知具の三心といひ。念佛して自然にそなはるを。行 |
Z08_0062B04: | 具と三心といふ。上人ノ云ク。三心はかならずしも。なら |
Z08_0062B05: | ひ沙汰せざらん無智の人や。さとりなからん女人な |
Z08_0062B06: | どの。え具せぬほどの心ばへにてはなきなり。まめや |
Z08_0062B07: | かに往生せんとおもひて。念佛申さん人は。自然に具 |
Z08_0062B08: | 足しぬべき心なり。已上●(七三)念佛名義集ニ云ク。故 |
Z08_0062B09: | 法然上人の。まのあたりをしへ給ひしは。三心も具す |
Z08_0062B10: | る事やすきなり。善導仰られたるを見ぬきて。是を心 |
Z08_0062B11: | 得つれば。いかなる無智の人も。やすく三心をば具す |
Z08_0062B12: | るなり。よく〱極樂をねがひ。よく〱あみだ佛を |
Z08_0062B13: | 心にそめて申ゐたるに。自然に三心を具足するなり。 |
Z08_0062B14: | 無智の人の申は。主はわが身に三心を具したる事を |
Z08_0062B15: | しらねども。三心をしりたる人の。此人に付そひて見 |
Z08_0062B16: | れば。夜はよもすがら申。晝はひねもすに申。ちかく |
Z08_0062B17: | よりてとへば。此人の申やうは。あひかまへて此たび |
Z08_0062B18: | 往生せんとおもひとりて。此念佛を申はじめてより。 |
Z08_0062B19: | さらに。をこたる事片時もさふらはず。此念佛を申つ |
Z08_0062B20: | けられて。わすれがたくさふらふなりと。かく。くはし |