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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0062A01: 念佛すれば。すずろに三心はあるなり。さればこそ。世
Z08_0062A02: にあさましき一文不通のともがらの中に。一筋に念
Z08_0062A03: 佛するものは。臨終正念にして。めでたき往生どもを
Z08_0062A04: するは。現に證據あらたなる事なれば。露塵もうたが
Z08_0062A05: ふべからず。中々よくもしらぬ三心沙汰して。あしざ
Z08_0062A06: まに心得たる人々は。臨終のわろくのみありあひた
Z08_0062A07: るは。それにて。たれ〱も心得べきなり。七箇條起請文。
Z08_0062A08: (六九)法然上人。わが念佛も阿波介が念佛も。おなじ
Z08_0062A09: 事なりとのたまへり。聖光上人は。たすけたまへ阿彌
Z08_0062A10: 陀佛と。つねに心にもおもひ。口にもいふなりと仰ら
Z08_0062A11: れたり。良順上人云。たへひ智惠をそなへたりとも。
Z08_0062A12: 往生に趣かん人は。ならひし智惠をば。心にわすれは
Z08_0062A13: て〻。無智のもの〻。又心なくうちたのみて念佛す
Z08_0062A14: る心なるべし。已上●法然上人の起請文にも。たとひ
Z08_0062A15: 一代の法を。よく〱學すとも。一文不知の愚鈍の身
Z08_0062A16: になして。尼入道の無智のともがらに同して。智者
Z08_0062A17: のふるまひをせずして。た▲一向に念佛すべしと。こ
Z08_0062A18: れ代々相傳の一大事なり。當流歷代の起請文をもみ
Z08_0062A19: るべし。●(七一)智者が上品にうまれ。愚者が下品に
Z08_0062A20: うまる〻にてもなし。滅罪の多少も。來迎の無有も。
Z08_0062B01: た▲信心による。智惠にはよらず。何事も佛の御しは
Z08_0062B02: ざなり。人の賢愚にはよらず。●(七二)ならひて得る
Z08_0062B03: を。知具の三心といひ。念佛して自然にそなはるを。行
Z08_0062B04: 具と三心といふ。上人。三心はかならずしも。なら
Z08_0062B05: ひ沙汰せざらん無智の人や。さとりなからん女人な
Z08_0062B06: どの。え具せぬほどの心ばへにてはなきなり。まめや
Z08_0062B07: かに往生せんとおもひて。念佛申さん人は。自然に具
Z08_0062B08: 足しぬべき心なり。已上●(七三)念佛名義集。故
Z08_0062B09: 法然上人の。まのあたりをしへ給ひしは。三心も具す
Z08_0062B10: る事やすきなり。善導仰られたるを見ぬきて。是を心
Z08_0062B11: 得つれば。いかなる無智の人も。やすく三心をば具す
Z08_0062B12: るなり。よく〱極樂をねがひ。よく〱あみだ佛を
Z08_0062B13: 心にそめて申ゐたるに。自然に三心を具足するなり。
Z08_0062B14: 無智の人の申は。主はわが身に三心を具したる事を
Z08_0062B15: しらねども。三心をしりたる人の。此人に付そひて見
Z08_0062B16: れば。夜はよもすがら申。晝はひねもすに申。ちかく
Z08_0062B17: よりてとへば。此人の申やうは。あひかまへて此たび
Z08_0062B18: 往生せんとおもひとりて。此念佛を申はじめてより。
Z08_0062B19: さらに。をこたる事片時もさふらはず。此念佛を申つ
Z08_0062B20: けられて。わすれがたくさふらふなりと。かく。くはし

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