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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0046A01: (式)なるを。いか▲うたてうとおもひて申人も侍る
Z08_0046A02: らむ。(二一)もしは又。身のすてがたきま〻には。世わ
Z08_0046A03: たるはし(橋)にとなして。となふるものもありぬべ
Z08_0046A04: し。(二二)これらはみな。心は名利のかたにおもむき
Z08_0046A05: て。行は往生を心ざすよしなり。(二三)か〻るは虛假
Z08_0046A06: にいつはれる念佛なるべし。(二四)た▲心に往生が
Z08_0046A07: したければ。くちに南無阿彌陀佛と申さる〻こそ。眞
Z08_0046A08: 實にまことなる念佛にては侍れ。(二五)たとへば何
Z08_0046A09: 事も。かざりたる世のなかに。人のゆ(湯)のほし(欲)
Z08_0046A10: き。水のほし(欲)きといふのみぞ。いつはらぬ事にて
Z08_0046A11: 侍らむ。いさ〻かにても。ほしき心のなきほどは。こ
Z08_0046A12: (乞)はれぬ事にてあれば。そのほしき心に。こきう
Z08_0046A13: すきはありとも。こ(乞)ふことば(語)は。みなま
Z08_0046A14: こと(誠)なるべし。(二六)後世にむけても。かくこ
Z08_0046A15: そありたけれ。(二七)すこしにても。往生が。げにし
Z08_0046A16: たくおぼえて。南無阿彌陀佛と〻なへんは。そのねが
Z08_0046A17: ふ心に。ふかきあさきはありとも。申さん念佛は。み
Z08_0046A18: なまことなるべし。(二八)こ〻ろざしふかくは。上品
Z08_0046A19: に生れ。あさくは。下品にこそくだるとも。みな往生
Z08_0046A20: の埓のうちには入ぬる也。(二九)その下品にうまる
Z08_0046B01: る程のまことは。よ(世)にやすき事なるべし。(三〇)ゆ
Z08_0046B02: めゆめ往生をかた(難)くはおもふべからず。(三一)
Z08_0046B03: されども人の心。すなほ(直質)ならぬより。やすき念
Z08_0046B04: 佛にくせ(癖)もつきぬるこそ。(カヘス)()ほいなくおぼゆ
Z08_0046B05: れ。(三二)人ごとにつくろはぬ心にて。た▲ありに申
Z08_0046B06: す念佛ならば。みな往生はしてんかし。(三三)凡夫の
Z08_0046B07: ならひなれば。この世さまの事こそあらめ。往生の方
Z08_0046B08: ばかりはねん(念)じて。さな(然勿)侍りそかし。(三四)
Z08_0046B09: 二に深信といふは。ふかく信ずる心なりと釋して。往
Z08_0046B10: 生な(勿)うたがひそといましむる也。(三五)これに
Z08_0046B11: つきて二の信あり。(三六)一には。自身は現にこれ罪
Z08_0046B12: 惡生死の凡夫。曠劫よりこのかた。つねに沒し。つね
Z08_0046B13: に流轉して。出離の緣あることなしと信じ。(三七)二
Z08_0046B14: には。かの阿彌陀佛。四十八願をも(以)て。衆生を攝取
Z08_0046B15: したまへば。うたがひなく。うらおも(慮)ひなく。か
Z08_0046B16: の願力に乘じて。さだめて往生することをえんと信
Z08_0046B17: ぜよといへり。(三八)いまこの二の信のおもむきは。苦
Z08_0046B18: 海常沒の身にして。出離の緣もなき我らぞかしと。ひ
Z08_0046B19: たすら(一向)自力のかけたる事をしらせて。(三九)
Z08_0046B20: されども。彌陀の本願によりて。うたがひなく。往生

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