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Z0370 帰命本願鈔諺註 湛澄 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z08_0035A01: 難行苦行をなし給へり。そのありさま。法然上人の
Z08_0035A02: 大經私記にあそばしたり云云。○兆載とは。數の名な
Z08_0035A03: り。その修行の時節ひさしき事をいふ。修行とは。六度
Z08_0035A04: 萬行なり。○なは下知の心なり。○大經。於不可
Z08_0035A05: 思議兆載永劫。積菩薩無量德行已上義寂
Z08_0035A06: 風俗通云。十萬。十億。十兆
Z08_0035A07: 十經姟。十姟補。十補爲選。十選載。已上
Z08_0035A08: 。在不足位。硏習M(シテ)勝進。故修行已上
Z08_0035A09: (一七)しかしながらとは。倂の字にて思惟も修行も。と
Z08_0035A10: もにといふ心なり。そも〱五劫の御心づくし。永劫
Z08_0035A11: の御身のくるしみは。たれをたすけんとての御いと
Z08_0035A12: なみぞや。またくよその事には侍らず。われらをたす
Z08_0035A13: けられんがための難行苦行なり。かなしきかな。我等
Z08_0035A14: が御ざまのつたなきゆへ。あぢきなく。大悲の御胸を
Z08_0035A15: いたましめて。菩薩の御身にくるしみをかけたてまつ
Z08_0035A16: る事よ。かの御修行の時は。大悲にたえず御身のいた
Z08_0035A17: みをもわすれて。手足をさき。御目の玉をもくりで。ほ
Z08_0035A18: どこし給ひけんこと。あはれにかたじけなくて。心な
Z08_0035A19: き墨染の袂にも。なみだをつ〻み侍るぞとよ。せめて
Z08_0035A20: それをば。我等ゆへの御事とだにおもはずして。なを
Z08_0035B01: 本願をよそ〱しく思ひ。往生をうたがはん事。いか
Z08_0035B02: なるつみのむくひぞや。鳴呼つれなき心かな。○往生
Z08_0035B03: 講式。倩思大悲誓願之深ヿヲ。涙連々トメ留。實
Z08_0035B04: 四十八大願ナカラナリ衆生。僧祇劫苦行。偏
Z08_0035B05: ナリ我等也。已上上人。永劫の修行は。これがた
Z08_0035B06: めぞ。未來の衆生にゆづりたまふ超世の悲願は。また
Z08_0035B07: 何の科ぞ。心ざしを末法のわれらにおくり給ふ。已上
Z08_0035B08: 如堂本尊の御歌に。時すぎて益なき法をすてよかし。
Z08_0035B09: 五劫思惟はたがためぞそも云云。●(一八)父子相迎
Z08_0035B10: 。諸佛もしかねたまへる十惡五逆の機を。たやすく
Z08_0035B11: 往生せさせぬる。大悲の至極をあらはして。佛も世にこ
Z08_0035B12: えたる高名とおぼすなるべし。已上○給にしのには。助
Z08_0035B13: 字なり。○我建より下の廿字は大經にあり。法藏比丘
Z08_0035B14: みづから。となへ給ふ四誓の偈なり。○此文の心をよ
Z08_0035B15: める新千載源邦長世にこゆるちかひの海のみをづくし。たつ
Z08_0035B16: るしるしはいつも朽せじ。○終のかの字。すみてよむ
Z08_0035B17: べし。かなといへる義なり。一本。決定の義なり。僧正遍正。あさみどり糸よりかけて白
Z08_0035B18: 露を。玉にもぬける春の柳か。とあり。古今の歌に。河風の凉くもあるか。とい
Z08_0035B19: へるかごとし。上にこそのか〻へあるがゆへ。しかと
Z08_0035B20: とまれり。●(一九)本願とは。上に引たる本願の文な

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