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J2940 瀧山大善寺志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J20_0149A01: 石川傳通院を經て遂に華頂山知恩院に轉昇しかつ大
J20_0149A02: 僧正に任ぜられ給ひしかば師は增上寺に歸りて持寮
J20_0149A03: し數年ののち學頭職に補せられ寬政元己酉歳四月十
J20_0149A04: 九日台命をかうむり瀧山大善寺に住持したまへりし
J20_0149A05: かしよりこのかたもつはら本願念佛を弘通しひたす
J20_0149A06: ら口稱一行をこととし自行化他孜孜として怠らすこ
J20_0149A07: れによりて道俗男女皈敬するものもつとも多し
J20_0149A08: 同二年庚戌の夏大に日てりせしかば農民請雨の法を
J20_0149A09: こふ師やむことを得ず三晝夜をかぎり至誠に祈願し
J20_0149A10: たまふにその滿する日農民つどひ來りて師の懇情を
J20_0149A11: 謝し侍りしがときにあたりて陰雲たちまちおこり雨
J20_0149A12: ふりいでてやまざること數日なりければ遠近の人み
J20_0149A13: な師の法驗のいちじるしきを感じあへりげにや雲棲
J20_0149A14: 大師のいにしへもおもひあわされていとたふとし師
J20_0149A15: ある時は富士山にのぼりて禪心を練磨し又甲州に遊
J20_0149A16: 化して普く專修念佛を弘通したまふに利益をかうむ
J20_0149A17: るもの指もてかぞへつくすへからずそのこと別記あ
J20_0149B18: ればここにはぶく
J20_0149B19: 一年師みづから一字三禮十念して阿彌陀經四卷を書
J20_0149B20: 寫し本師大僧正および兩親の報恩に擬し又自身往生
J20_0149B21: の資糧にあつされは四倒を翻し四德を成せんがため
J20_0149B22: なりとぞ書寫おはりしかば我あらかじめ臨終行儀を
J20_0149B23: なして用心にそなへむとてまづ道塲を莊嚴し有信の
J20_0149B24: 道俗兩三輩をまねき助音せしめみづから頭北面西に
J20_0149B25: ふして高聲念佛やや時をうつし回向おはりてのち墓
J20_0149B26: 地を卜し塔婆を造立してひとへに終焉のこころざし
J20_0149B27: あり師平生厭欣の心を策勵したまふこと凡かくの如
J20_0149B28:
J20_0149B29: 寬政七乙卯歳夏のころより病ありて醫藥しるしなく
J20_0149B30: 七月のはじめにいたりなやみいよいよはげしかりけ
J20_0149B31: ればみづから起へからざるを知りあらかじめ後事を
J20_0149B32: 屬し稱佛の外他事なかりき十四日の夜病苦はなはだ
J20_0149B33: しやがて左右につげていはく今此苦は是いはゆる斷
J20_0149B34: 末魔なりああたれか得てこれをまぬかれん汝等平生

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