ウィンドウを閉じる

J2860 瓜連常福寺志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J19_0773A01: 佛によりて坐臥には預からす頭北面西して苦惱あら
J19_0773A02: はあしかりなんといさめしかはそのまま西に面して
J19_0773A03: 稱名せらる
J19_0773A04: 二十九日夜寅の刻より苦痛もつともつよしみつから
J19_0773A05: 死苦なることをしりよく堪しのひて正念明了なりあ
J19_0773A06: くれは二月朔日の曉かた苦惱漸やみて身心やすらか
J19_0773A07: に覺ゆ扶け起すへしとありしかは法弟性海予ととも
J19_0773A08: にたすけおこしぬ師いわく苦惱ことことく去て四大
J19_0773A09: 輕安なりまさしく今日命終なるへしさらは藥ものむ
J19_0773A10: へからす看病人も無用なりと巳刻より平臥して念佛
J19_0773A11: せらるその夜戌の刻はかり予につけていはく我身心
J19_0773A12: 今夜の如くさはやかなること生來いまだ覺へすあた
J19_0773A13: かも空中にあるか如し決定往生の報前得ならんと歡
J19_0773A14: 喜面にあふるそれより餘言なしたた念佛するのみ予
J19_0773A15: 枕のもとにありて助音するに氣息もよはくなりてね
J19_0773A16: むれる如くなりしかは引鏧打ならし若我成佛の文を
J19_0773A17: 誦するに又微音に念佛せらる中夜すくる頃面を西に
J19_0773B18: 向へ手を胸間に叉へて五偈の文を誦し更に發願文ま
J19_0773B19: た普賢願生之偈をとなへねかはくは弟子祖海無始已
J19_0773B20: 來業障消滅臨終正念必得往生如來大悲哀愍護念助け
J19_0773B21: たまへ南無阿彌陀佛南無阿彌陀佛との聲かすかなれとも句句
J19_0773B22: 分明に聞ゆ念佛十餘聲そのまま逝せらる臥容すこし
J19_0773B23: も轉せす面色えみをふくめり天明六年丙午の歳二月
J19_0773B24: 朔日の夜丑刻春秋二十有三法臘十四年なり法に凖し
J19_0773B25: て火浴し遺骨を增上寺中妙定院におさめ追て良廓と
J19_0773B26: 號す予乙巳之春ふたたひ東行し師と同室のましはり
J19_0773B27: をなす事一年
J19_0773B28: 當山所祭府君尊儀
J19_0773B29: 淨鑑院殿英譽崇巖武田公大居士
J19_0773B30: 公姓源氏諱信吉 小名萬千代
J19_0773B31: 東照宮第五子也因稱五良母秋山氏天正十一年癸未
J19_0773B32: 生 東照公恤武田族穴山信君有功無嗣以公繼其家
J19_0773B33: 娶若狹少將豐臣勝俊女慶長七年封常州水戸癸卯九
J19_0773B34: 月十一日卒年二十一公多病無子葬于那珂郡瓜連村

ウィンドウを閉じる