浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J19_0773A01: | 佛によりて坐臥には預からす頭北面西して苦惱あら |
J19_0773A02: | はあしかりなんといさめしかはそのまま西に面して |
J19_0773A03: | 稱名せらる |
J19_0773A04: | 二十九日夜寅の刻より苦痛もつともつよしみつから |
J19_0773A05: | 死苦なることをしりよく堪しのひて正念明了なりあ |
J19_0773A06: | くれは二月朔日の曉かた苦惱漸やみて身心やすらか |
J19_0773A07: | に覺ゆ扶け起すへしとありしかは法弟性海予ととも |
J19_0773A08: | にたすけおこしぬ師いわく苦惱ことことく去て四大 |
J19_0773A09: | 輕安なりまさしく今日命終なるへしさらは藥ものむ |
J19_0773A10: | へからす看病人も無用なりと巳刻より平臥して念佛 |
J19_0773A11: | せらるその夜戌の刻はかり予につけていはく我身心 |
J19_0773A12: | 今夜の如くさはやかなること生來いまだ覺へすあた |
J19_0773A13: | かも空中にあるか如し決定往生の報前得ならんと歡 |
J19_0773A14: | 喜面にあふるそれより餘言なしたた念佛するのみ予 |
J19_0773A15: | 枕のもとにありて助音するに氣息もよはくなりてね |
J19_0773A16: | むれる如くなりしかは引鏧打ならし若我成佛の文を |
J19_0773A17: | 誦するに又微音に念佛せらる中夜すくる頃面を西に |
J19_0773B18: | 向へ手を胸間に叉へて五偈の文を誦し更に發願文ま |
J19_0773B19: | た普賢願生之偈をとなへねかはくは弟子祖海無始已 |
J19_0773B20: | 來業障消滅臨終正念必得往生如來大悲哀愍護念助け |
J19_0773B21: | たまへ南無阿彌陀佛南無阿彌陀佛との聲かすかなれとも句句 |
J19_0773B22: | 分明に聞ゆ念佛十餘聲そのまま逝せらる臥容すこし |
J19_0773B23: | も轉せす面色えみをふくめり天明六年丙午の歳二月 |
J19_0773B24: | 朔日の夜丑刻春秋二十有三法臘十四年なり法に凖し |
J19_0773B25: | て火浴し遺骨を增上寺中妙定院におさめ追て良廓と |
J19_0773B26: | 號す予乙巳之春ふたたひ東行し師と同室のましはり |
J19_0773B27: | をなす事一年 |
J19_0773B28: | 當山所祭府君尊儀 |
J19_0773B29: | 淨鑑院殿英譽崇巖武田公大居士 |
J19_0773B30: | 公姓源氏諱信吉 小名萬千代 |
J19_0773B31: | 東照宮第五子也因稱五良母秋山氏天正十一年癸未 |
J19_0773B32: | 生 東照公恤武田族穴山信君有功無嗣以公繼其家 |
J19_0773B33: | 娶若狹少將豐臣勝俊女慶長七年封常州水戸癸卯九 |
J19_0773B34: | 月十一日卒年二十一公多病無子葬于那珂郡瓜連村 |