ウィンドウを閉じる

J2820 三縁山志 摂門 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J19_0384A01: けるは實に規模の極ならすや又往年より國主城主の
J19_0384A02: 牌を立宿坊を勤め月俸を寄られけるは其因縁により
J19_0384A03: て法孫に傳はれり又一代の貫主縁ふかくして定書を
J19_0384A04: 給はり役印連署して法孫に傳ふもあり然れ共これら
J19_0384A05: わつかにして多くは一世の假庵なり愚按するに悲しむへきはたとへは前
J19_0384A06: 寮主筑紫の産にして後主東奧の人あり又前主山主の寵縁ありて住せしも後主後山主の因由によりて棲居あるもありまた慢邪貢妬の徒
J19_0384A07: も其時に有て住するか故に一部一書をも往年より一寮に傳ふるなしまれに法孫附讓の什書ありといへとも展轉散在し又其時時の寮主
J19_0384A08: 好みなき書は他に分散せしめ又同席の僧好めるは自ら出し他に持行なとして記傳一寮に傳來集在することなしいはんや法系の由縁主僧
J19_0384A09: の本國郡村の地名生縁の産所剃度の寺號父母の名代代に住せる寮主の名なとしるせることも實に稀なり唯一山に仰き用ゆるは法門の一事
J19_0384A10: にして筆記せる古冊はいつれにも寫しととめ法孫へつたへり今時の形勢を以て來代を想ふに又かくのことくたるへしたまたま先哲老輩に
J19_0384A11: 古往を問訊するにすへて本原をしる者もなくみな守傳を本旨として筆端にしるさしめす故に何れの寮庫といへとも傳文まれなり玆に予
J19_0384A12: か法祖中興國師の庶弟として聞諦上人駿府寶臺院に住せられしより代代の師弟互に相繼て後裔をあはれみ法門の書は敷百卷古記の抄
J19_0384A13: 錄數百卷すへて虫暑の愁をさけ濕破の難をよけて傳ふること二百年予に及ひて十一代義觀のいとまたまたま此志を編す若抄記文筆の拙
J19_0384A14: きにやめなは年年の弊風末徒に扇き時時の衰火無智を焦して當山の源流往世の事實空しく後來の胸にくらからしめん唯討古尋往の好事
J19_0384A15: のみにあらす一山の風儀朦朧に歸せんことを感激し斷然として此志をあむこととはなりぬ希くは後賢此志を襲て考證絶さらしめ淸撰
J19_0384A16: 年年に增補せは素願何事かこれにすきんむへなるかなもし各寮傳承のみあら
J19_0384A17: は多年勵學の徒又德長優解の衆も望を法天の日月に
J19_0384B18: くもらして鬚を辭山の雲水にまかすへし故に寮の淸
J19_0384B19: 範學の優劣當今本朝無二の大叢林にして比叡高野も
J19_0384B20: 比挍すへからす况やその餘の學處をや
J19_0384B21: ○被位鴻漸
J19_0384B22: 被位とは諸寺院の弟子當山に入寺掛錫ありしより檀
J19_0384B23: 林に出世し又は府内諸國の寺院に住職せる迄始め極
J19_0384B24: 新來の名あるより學頭に至まての大衆座階あるの惣
J19_0384B25: 名也則初入寺を被位の始とす夫より順昇三十餘年中
J19_0384B26: 年にして寺院に住せるをも名く元和御條目十八云於法
J19_0384B27: 問商量之座敷以學文之戒臘可定上下至其外之衆會者
J19_0384B28: 以出世之前後可着座已上十九云於所化寺僧之會合者選
J19_0384B29: 擇以上者可列座平僧上已上されは被位を立るより學頭
J19_0384B30: に至る迄學匠名識を論せす年長老幼をいはす師跡寺
J19_0384B31: 院の高下をとはす産氏系流の尊卑を撰はす唯一日も
J19_0384B32: 早く入寺せるを長とすたたし時時の法問講釋順番な
J19_0384B33: るか故に席に堪さるものは辭山消帳す他門には其學才の優劣博識の選擧あ
J19_0384B34: りて無能の衆を越て上昇するの功もあれと當山是を禁す故に故園に辭し洗耳の者もあり又自の涯分を知て退又病軀にして席にあるに堪

ウィンドウを閉じる