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J2730 学信和尚行状記 慧満・僧敏 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0309A01: だしくして。權門勢家を避ざること。皆此類ひなり
J18_0309A02: き。
J18_0309A03: 師長建寺より。此大林寺にうつりても。もはら弘法
J18_0309A04: を任とし。一家の經論をはじめ。梵網經。起信論。唯
J18_0309A05: 識論等を講説し夜は儒典。老莊を講述して。大衆を
J18_0309A06: 敎育せらる。これによりて。宗門の光輝一時盛大な
J18_0309A07: りけり。護法の苦心を盡るる事。これ日もたらずと
J18_0309A08: す。實に澆末にありて。匡正救弊の一奇人なりとい
J18_0309A09: ふべし
J18_0309A10: 一年。大に旱して。處處に請雨すれども。その驗あ
J18_0309A11: ることなし。諸民の患尤甚しかりければ。大守師に
J18_0309A12: 命じて雨を祈らしむ。師これをうけがひ。すなはち
J18_0309A13: 雨ふる迄は。何日にても斷食すべしと誓ひて。日夜
J18_0309A14: 精誠を凝して。無量壽經を讀誦せられしに。その驗
J18_0309A15: いちじるく。第三日にいたりて。空かきくもり。雷
J18_0309A16: 電はげしくなりとどろき。半日一夜の間暫くも小止
J18_0309A17: なく。甘雨大にそそぎければ。人皆蘇息のよろこび
J18_0309B18: をなせり。此事又後にもありて。おなしく驗を得られ
J18_0309B19: しとなん。經に佛所遊履。國邑丘聚。靡不蒙化。
J18_0309B20: 天下和順。日月淸明。風雨以時。災厲不起。とし
J18_0309B21: も説給へり金口所説。誠實なること師の至誠にあら
J18_0309B22: はれ。諺に莫耶の刀も持人によれりといへる宜なる
J18_0309B23: かな
J18_0309B24: 評云。往昔。延久四年三月。洛北岩藏大雲寺成尋
J18_0309B25: 和尚。宋にいたれり。彼國凞寧五年なり。翌六
J18_0309B26: 年。正二月雨なし。天下大に旱す。神宗皇帝。和
J18_0309B27: 尚に勅して。三月二日より。祈雨の密法を修せし
J18_0309B28: む。同四日夜。大に雨ふりて。五日の晨にいた
J18_0309B29: る。帝自ら。道場に詣して。燒香禮拜して。和尚
J18_0309B30: に善慧大師の號を賜へり。張大保。歎じていは
J18_0309B31: く。西天の日稱三藏。祈雨五日にして得たり。中
J18_0309B32: 天の慧遠。慧寂。七日にて應ず。いまだ三日の速
J18_0309B33: なるごときはあらずと。つぶさに釋書に出たり。
J18_0309B34: 今師。勇猛強盛の感驗。實に善惠大師にゆづら

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