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J2660 無能和尚行業記 宝洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J18_0173A01: 黄をなん見侍る。仍て師の自行化他のやうなど委
J18_0173A02: しく聞侍りしに。實も少縁の事にはあらざるなめ
J18_0173A03: り。それ聖者の身を分て一方の生を化するにあら
J18_0173A04: すは。何そ海裔の利益かくのごとく隆なることを
J18_0173A05: えんや。予仰慕の思ひにたへず曾てしばしば消息
J18_0173A06: して。中心の葵誠を述ぶ。然るに師いく程なくて
J18_0173A07: 遂に滅を示されしかは。哀惜の情しのびがたく。
J18_0173A08: すずろに墨染の袂をしほり侍りぬ。爰に有縁の緇
J18_0173A09: 白。相共に予に謂ていはく。隱士の道跡。みな人
J18_0173A10: のしる所にして。一時の視聽に乏しからずといへ
J18_0173A11: ども。若詳かに行狀を集錄せられは。猶聞を永世
J18_0173A12: に貽さんと。いと慇懃に請せらる。予素より疎昧
J18_0173A13: にして。みだりに筆の林に遊べとも。才の花採る
J18_0173A14: べきなく。硯の池に臨めども詞の泉掬ふべきもな
J18_0173A15: し。しかはあれども。高師の山のたかき跡の埋も
J18_0173A16: れなん事を惜み。憚の關のはばかりをもかへり見
J18_0173A17: ず。普くかの門葉に咨ひ。細かにその遺文を拾ひ
J18_0173B18: て。〓に盛績の顚末をしるし侍る。後のこれを見
J18_0173B19: ん人。只その賢き跡を見て。ひとしからんと思ひ
J18_0173B20: て。拙き筆のすさひを嘲ることなく。これを以て心
J18_0173B21: 行の一助として。西邁の先途を遂げ給へといふこと
J18_0173B22: しかり。時に享保庚子の春彌生半のころ野釋寶洲
J18_0173B23: 奧陽相馬興仁蘭若にしてこれをしるし侍る
J18_0173B24: 跋無能隱士行業後
J18_0173B25: 昔者石垣金光上人。乃吉水之門人。而當初之翹楚
J18_0173B26: 也。以大師讃許之辭而察此則深造宗敎之淵
J18_0173B27: 蘊也可知矣。後有故來乎玆州遂取滅焉。然
J18_0173B28: 無紀籍之所傳。而其遺風勝業。不可得而知
J18_0173B29: 也。是故舜昌法印。載之列傳弗獲復詳惜乎。
J18_0173B30: 粤守一無能和尚者。葢一方之人傑也。其道操凛
J18_0173B31: 烈。淨業精至。始不下古德矣。且勸誘爲任。
J18_0173B32: 孳孳不惓。州郡嚮化者。〓不知其幾千萬也。
J18_0173B33: 先喆有言學者漸漸繁。道人漸漸稀。豈知叔世邊
J18_0173B34: 陲。亦有若人凡人有片善。猶足稱之。矧備衆

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